「電子契約のリスクは?紙の契約書と電子契約書のちがい」

紙の契約書に代わり、電子契約を導入する企業が増えています。契約に関する業務効率化やコスト削減など多くのメリットを持つ電子契約について、自社での導入をお考えの方もいらっしゃると思います。
ただ利便性は理解しているものの、従来の紙の契約書からの切り替えには不安を感じてしまうものですよね。電子契約導入にあたってどのようなリスクが考えられるのでしょうか。対処法や回避策を含めて詳しく解説します。

監修:朝倉由美(弁護士。弁護士法人One Asia所属)

  1. 【基礎知識】電子契約とは?システムの概要と2つの種類を解説
  2. 【要注意】電子契約の6つのリスク&懸念と回避策|セキュリティ機能の有効活用がカギ
    1. 1.契約書の有効性が証明・担保できない|電子署名とタイムスタンプが解決!
    2. 2.契約者のなりすましリスク|SMS認証と権限機能で問題解決
    3. 3.契約書の改ざんリスクがある|タイムスタンプで心配無用!
    4. 4.情報漏洩リスク|権限機能&セキュリティソフトと社内教育で回避可能
    5. 5.アクセス停止で契約書が見れなくなるリスク|クラウド型のサービスを使えば解決
    6. 6.書面化義務がある契約を電子契約するリスク|事前確認で防止可能
  3. 紙の契約書が持つリスクと問題点|従来の方法が安全とは限らない!
    1. 1.実は契約書の改ざんリスクが高い|今は3Dプリンターで印鑑を簡単に偽造可能
    2. 2.様々な保管リスクがある|紙は紛失・火事・災害・水に濡らすなどで容易に失われる
    3. 3.印鑑を持ち出されたら最後、何をされても分からない
  4. 電子契約を導入するメリット3選|総じて紙より効率的でコスパも良い
    1. 1.業務の効率化につながる|パソコン操作だけで契約が完結!
    2. 2.コスト削減につながる|郵送費用と収入印紙代が不要!
    3. 3.契約書の保管や検索が容易になる|保管場所が不要&PCで簡単に探せる
  5. 【リスク対策に必須】電子契約サービス選びで見るべき4つの機能
    1. 電子署名&タイムスタンプ|契約書の法的効力の担保に必須
    2. 権限機能&SMS認証機能|なりすまし対策に有効
  6. この記事のまとめ

【基礎知識】電子契約とは?システムの概要と2つの種類を解説

電子契約とは、電子データを用いて契約を交わす方法です。具体的には、インターネットを通じたオンライン上で契約書の電子データを送り、サーバーやクラウドで保管・管理を行います。

電子契約と紙の契約の違い
電子契約 紙の契約書
送付方法 メール等 郵送・持参
押印方法 電子署名 印鑑
本人確認手段 電子署名&SMS認証 印鑑証明書
改ざん防止策 タイムスタンプ 印鑑
収入印紙 不要 必要
保管方法 クラウド上orサーバーに保管 倉庫などに保管

紙の契約書では、契約内容を担保するための証として印鑑が用いられてきました。電子契約書では印鑑の代わりに、本人である証明として電子署名を用います。さらに、いつ契約が締結されたのか、その日付を明らかにするためタイムスタンプを付与します。電子署名とタイムスタンプは「作成したのは誰か」(本人性)「作成後、改ざんされていないか」(非改ざん性)の証であり、なりすましや改ざんなど不正などを防ぐ役割を担っています。

また電子契約は、契約する本人が電子署名をする当事者型、電子契約サービス事業者など第三者が電子署名を行う立会人型の2つのタイプに区分されます。

電子署名やタイムスタンプについては、次の記事で詳しく説明しています。 ぜひご覧ください。

【要注意】電子契約の6つのリスク&懸念と回避策|セキュリティ機能の有効活用がカギ

従来の紙の契約は、対面で行われてきました。一方で電子契約はインターネット上で締結するため、改ざんや情報漏洩などセキュリティ面により注意しなければなりません。また契約を有効にするためにも、定められた手続きに沿う必要があります。この項目では電子契約で気をつけたい6つのリスクと対応策についてご紹介します。

1.契約書の有効性が証明・担保できない|電子署名とタイムスタンプが解決!

契約書を取り交わす際、契約が有効であるかどうかが重要なポイントです。電子契約では、【引用:電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)】に基づき、契約書にいつわりがなく、本物である(真正)であることを示す必要があります

ただし電子契約では、インターネット上での契約締結が基本です。実際に相手に会って事細かにやりとりするわけではありません。そのため契約書が「いつ締結されたのか」「本当に本人が締結したのか」を証明できなければ、契約書の有効性についてトラブルになるリスクがあります。引いては「契約書そのものが存在しているのか」まで疑う事態になりかねません。

誰が、つまり電子契約に不可欠な「本人」であることの証拠として電子署名が活用できます。加えてタイムスタンプの付与により、電子契約書がその時刻に存在していることの証明が可能です。電子署名とタイムスタンプを組み合わせれば「誰が、いつ、締結したか」が明確となり、電子契約書の法的効力を示す証ともなります。

2.契約者のなりすましリスク|SMS認証と権限機能で問題解決

電子契約で考えられるリスクの2つめは「なりすまし」です。 パソコンやスマホなどを介して契約締結が可能なため、実際には誰が契約したかわからないおそれがあります。対面で締結する紙の契約書とは異なり、契約者ではない誰かがなりすましている可能性も否定できないのです。

契約者のなりすましリスクを防ぎ、本人性を担保する方法としてSMS認証機能の利用が挙げられます。SMSは携帯電話やスマホなどのデバイスを活用する本人性の高いシステムです。SMS認証機能の活用により、契約担当者のデバイスのみで契約締結を行えるため、なりすましは困難となるわけです。また社内での承認や稟議などを管理できる機能を使い、契約前に決済者の承認をフローに加える設定をつけておく方法もあります。この設定により、契約書の無断送信は防げます。

3.契約書の改ざんリスクがある|タイムスタンプで心配無用!

電子契約で契約を交わす場合、不正アクセスのリスクも考えておかなくてはなりません。ルールに沿った内容で電子契約書を発行しても、内容が改ざんされてしまう可能性があるためです。契約書の内容改ざんに関しても、タイムスタンプが大切な役割を果たします。タイムスタンプでは契約締結時から内容が変わるたびに記録が残るため、改ざんがあっても一目瞭然です。

電子契約書が作成後に変更されていないかを証明するためにも、タイムスタンプを利用できる電子契約サービスを選ぶことが重要です

4.情報漏洩リスク|権限機能&セキュリティソフトと社内教育で回避可能

情報漏洩も電子契約で危惧されるリスクのひとつです。外部からのサイバー攻撃や不正アクセスはもちろん、送るべき顧客とは別の相手にデータ送信してしまった…などのうっかりミスも含まれます。これは契約書に限った問題ではなく、データ送信全般で起こりうるリスクでもあります。

サイバー攻撃やウイルス感染などによる情報漏洩に関しては、社内体制としてセキュリティ対策を行う必要があります。電子契約のみならず、顧客情報などさまざまな情報漏洩を防ぐため、高性能なセキュリティソフトの導入や通信の暗号化、アクセス制御などトータルな対策が大前提となるのは言うまでもありません

またヒューマンエラーが原因となる場合は、社内のセキュリティ教育の充実を図ることも大切です。権限機能を用いたアクセス制限はもちろん、稟議機能を使った送信前の複数名チェックなどを行えば、人為的ミスの軽減にもつながります。

5.アクセス停止で契約書が見れなくなるリスク|クラウド型のサービスを使えば解決

電子契約で用いた契約書データの保管媒体にはCD-Rなど光学メディアや磁気媒体があり、媒体の寿命は長くても20年ほどに限られます。保管方法に配慮すれば100年以上は保管できる紙と比較すると明らかに劣ります。つまり「使えなくなる」という意味で、可用性面でのリスクにつながります。

このリスクに関しては、保管媒体のメンテナンスを怠らないことが重要です。適切なメンテナンスで寿命は伸ばせます。加えてサーバーではなくネット上で使えるクラウドにデータを保管する方法が有用です。クラウドの電子契約サービスを利用すれば、データの有効性は高まり、可用性リスクはほぼ消失すると言っていいでしょう。

6.書面化義務がある契約を電子契約するリスク|事前確認で防止可能

契約書の種類によっては電子契約化ができない場合もあります。書面での作成・交付が義務となっている契約もあるためです。例えば事業用定期借地契約や任意後見契約書等の電子化はできません。電子化が認められていない契約において、うっかり電子契約を締結してしまわないよう注意が必要です。。

契約において書面作成が求められるのは、公正証書が必要になる場合です。専門家である公証人が公証役場で作成することでより高い証拠力を有する書類で、紙での作成が条件となっています。
電子化が可能かどうかを判断するには、顧問弁護士や社内の法務部にリーガルチェックを依頼するなどの対策を講じなければなりません。ただし、専門家のチェックさえ受けられれば、電子化するミスを防ぐことも可能です。加えて書面化義務がある契約書の種類自体が少ないため、リスク度合いも低いと考えられます。なお、電子化するためには、法令上相手の承諾が必要になっている契約書面もあります。いずれにしても、事前確認を怠らないようにして、リスクを回避しましょう

紙の契約書が持つリスクと問題点|従来の方法が安全とは限らない!

長年利用されてきたため、紙の契約書に対して「新しい方法である電子契約より安心だ」との印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし従来からの方法が必ずしも安全とは限りません。ここからは紙の契約書が持つリスクや問題点について説明します。

1.実は契約書の改ざんリスクが高い|今は3Dプリンターで印鑑を簡単に偽造可能

紙の契約書は、データで作成される電子契約に比べて改ざんリスクが低いと考えられてきました。 けれども近年、3Dプリンターなどの技術も進み、印影から印鑑を偽造するのも容易となりました。紙の契約書であっても、改ざんリスクとは無縁ではありません。電子契約書では、作成日時が正確に記録されるタイムスタンプが付与され、改ざんの履歴も残るため、「紙よりも安全である」という見方もできるのです。

2.様々な保管リスクがある|紙は紛失・火事・災害・水に濡らすなどで容易に失われる

紙の契約書は火災や水害などの災害で失うおそれがあります。また他の書類と紛れてなくす、移動中に置き忘れ・盗難など常に紛失のリスクと隣り合わせです。電子契約では、クラウド上にデータを保管することが可能です。災害など緊急事態や人為的な紛失などのリスクに強いのもメリットと言えるでしょう。

3.印鑑を持ち出されたら最後、何をされても分からない

紙の契約書では、内容への同意を示す意味で押印します。ただし、印鑑を勝手に持ち出されてしまえば、誰かがどこかで使用したとしても追跡できません。悪用されても、気づくことが難しい部分があります。一方、電子契約では、アクセスなどの制御ができる権限機能の利用も可能です。
また、万が一無断で契約書を作成された場合も、作業者の記録が明確に残るため安心です

電子契約を導入するメリット3選|総じて紙より効率的でコスパも良い

従来の紙の契約書から電子契約に変えるメリットについてもあらためてご紹介します。
電子契約の導入で得られる代表的なメリットは次の3つです。

1.業務の効率化につながる|パソコン操作だけで契約が完結!

紙の契約書の場合、作成したら印刷しなくてはなりません。押印と製本を経て、郵送の手間もかかります。電子契約導入により、これらの手順はすべて不要となります。
作った電子契約書を電子契約サービスを通して送るだけで済み、大幅な業務効率化が図れます

2.コスト削減につながる|郵送費用と収入印紙代が不要!

紙の契約書では、税金や手数料を納付する時に収入印紙(証票)が必要です。収入印紙の貼付をしなければならず、その分費用がかかります。また契約書の郵送分のコストも見込んでおかなくてはなりません。電子契約ではこれらすべてが不要となり、コスト削減も見込めます。
大量の契約を交わす企業や業種では、数百万円単位でのコスト削減を行える可能性もあります

3.契約書の保管や検索が容易になる|保管場所が不要&PCで簡単に探せる

探すのが容易で、すぐに見つけられるのも電子契約ならではです。
紙の契約書のような保管スペースも不要で、特定の契約書を検索ですぐに探せます。
加えて電子契約では、保管場所が電子契約サービス内、クラウド上となるため、データ消失のリスクもほぼなく、安心して利用できるのも特長です。

【リスク対策に必須】電子契約サービス選びで見るべき4つの機能

便利な電子契約のメリットを生かすには、起こりうるリスクを想定し、備えておかなければなりません。導入を検討している方が注目すべき電子契約サービスの4つの機能について解説します。

電子署名&タイムスタンプ|契約書の法的効力の担保に必須

電子署名は、電子契約書が確かに存在し、本人が署名したことを示す(本人性)証として用います。
加えてタイムスタンプは、締結した日時、作成後改ざんされていないことを証明します。
これら2つの存在により、契約書の法的効力が担保できるのです。電子契約サービスを選ぶ際には、電子署名とタイムスタンプが使えるかどうかの確認は必須となります。

権限機能&SMS認証機能|なりすまし対策に有効

電子契約書は対面で結ぶわけではないため、本人以外の誰かに勝手に送付される、締結されるなどのリスクがあります。このような「なりすまし」を防止するために役立つのが権限機能とSMS認証機能です。
権限機能を使えば、契約締結・送信に関わる人数を増やし、承認者を複数設定することができます。複数のチェックがあれば、契約書が無断で送信・締結されるリスクは軽減できます。
同様にスマホや携帯電話を用いるSMS認証機能があれば、本人確認を正しく行うことが可能です。より安全に電子契約を利用したい方は、これらがついた電子契約サービスを選ぶのがおすすめです。

この記事のまとめ

電子契約は紙の契約書とは異なり、対面ではなくオンラインで締結します。その特性からなりすましや情報漏洩などいくつかのリスクも存在します。ただし、電子署名やタイムスタンプなどの技術を活用すれば、本人性も担保される有効な契約書を作成できます。またSMS認証と権限機能などを用いれば、なりすましなどにも対応可能です。電子契約の導入には、リスクに対応できる機能を持つサービスを選べるかどうかが大きなポイントとなります

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