【弁護士監修】契約書の日付とタイムスタンプ(電子契約)のズレは「バックデート」にならないの?

2022/08/09 2022/08/24

契約書には「契約締結日」「署名欄に記載する日」「効力発生日」といったさまざまな日付が存在します。どれも重要な役割を持つ日付ですので、日付の意味をきちんと理解することはもちろんのこと、契約書を作成する上では当事者間できっちりと摺り合わせていくことが重要です。

また、近年増えてきた 電子契約では「タイムスタンプの時刻」が付与されるようになり、契約締結日が可視化 されるようになりました。 タイムスタンプの時刻は、最後の当事者が承諾した時刻が記録されるため、電子契約の本文に記載した日付とタイムラグが発生します。そのため、見かけ上はバックデートをしたことになりますが法的に問題ないのでしょうか。

本記事では、それぞれの日付の役割を解説しながら、電子契約においてのバックデートの考え方を説明します。

契約書を作成する際に重要な日付たちの役割

契約書を作成する際には、「契約締結日」「署名欄に記載する日」「タイムスタンプの時刻」「効力発生日」などさまざまな日付があります。それぞれどんな役割があるのでしょうか。本項目ではそれぞれの役割を解説していきます。

契約書作成する際に重要な日付 定義 役割
契約締結日 契約当事者全員の署名あるいは押印が完了した日 契約書本文に効力発生日の定めがなければ契約締結日から法的効力が発生する
署名欄に記載する日 契約書に署名または押印を行った日 あくまで署名した日に過ぎないが、本文中に特約や反証がなければ契約締結日及び効力発生日とされる
タイムスタンプの時刻 契約当事者の中で最後に同意した当事者が同意ボタンを押した時刻 契約書の存在証明と非改ざん証明を行い、電子契約の法的効力を高める
効力発生日 “契約当事者間の合意が成立した日”
“但し、契約書本文に明記すれば別日に定めることが可能”
契約の法的効力が発生する

契約締結日とは?

書面契約の場合の契約締結日とは、一般に、当事者全員の署名あるいは押印が完了した日のことを指します。同様に、 電子契約の場合も、通常、当事者全員が承諾した日、すなわちタイムスタンプが刻印された日 のことを指します。

なお、契約の効力発生日の定めが本文上に記載されていなければ、「契約締結日=効力発生日」となります。

署名欄に記載する日とは?

契約書本文の最後には署名欄とともに日付記入欄がある場合があります。 この日付は文字通り、署名や押印を行った日付を記入するもので、契約締結日や効力発生日とは意味が異なってきます。

もちろん、当事者全員が同じ場所で同時に署名または押印をした場合は、署名欄に署名をする日付と契約締結日は同日となります。

その一方で、郵送などでやり取りをする場合は、どちらかが先に署名した後に、相手方に郵送して署名することになるため、契約締結日とは別日になる可能性もあります。電子契約の場合も同様に、署名欄の日付が印字された契約書を相手方に送信して署名することになるため、署名欄の日付と契約締結日とは別日になることがほとんどです。

署名欄の日付と契約締結日が別日となった場合、法的に効力が発生する日は、通常契約締結日(最後に署名者が署名した日)になります。

しかしながら、書面契約の場合は、いつ当事者全員が契約に合意したのかを署名欄の日付以外で特定することが難しいため、この日付をもって契約締結日及び効力発生日と主張されるのが通常です。

したがって、効力発生日を別日にしたい場合などは、その旨を本文中に明記する必要があります。

タイムスタンプの時刻とは?

電子契約におけるタイムスタンプは、契約者とは利害関係のない第三者機関であるタイムスタンプ局から発行されます。なお、クラウドコントラクトのような電子契約サービスを利用した場合には、システムが自動的にタイムスタンプの付与を行います。

この タイムスタンプの時刻は、契約当事者の中で最後に同意した当事者が同意ボタンを押した日時が秒単位で記録されます。したがって、電子契約における契約締結日とはタイムスタンプが押された日 になります。

署名欄の日付とタイムスタンプのズレは問題ないのか

近年、電子契約が増えていることから、契約書にタイムスタンプが付与されるようになり、契約締結日が時間単位で可視化されるようになりました。

タイムスタンプとして記録される日付は、契約当事者のうち、最後に承諾した時刻が記録されるため、署名欄に記載した日付と多くの場合一致しません。そのため、見かけ上はバックデートして契約書を作成したように見えてしまいます。

このような、契約実務上やむを得ずバックデートをした場合、法的に問題ないかを解説します。

そもそもバックデートとは?

バックデートとは、実際の契約締結日よりも過去の日付を契約締結日とし、署名欄の日付に記載することを意味します。

例えば、4月15日に当事者全員の署名や押印が完了したにも関わらず、契約の効力発生日を4月1日からにしたいため勝手に署名欄の日付を4月1日と記載しました。

このように実際の日付よりも過去の日付を記載することがバックデートと呼ばれています。このバックデートを悪意をもって不正に行った場合には法律上の問題が生じる可能性があります。

タイムスタンプとのズレはバックデート?

電子契約書では契約が締結された時点のタイムスタンプが自動的に刻印されます。その際、タイムスタンプの時刻と署名欄に記載された日付は多くの場合で一致しません。そのため、見かけ上はバックデートをしたことになりますが、それは不正なバックデートには当たりません。

例えば取引先から、「契約締結日及び効力発生日を9月30日にしましょう」というコメントをもらえたとします。しかし社内手続きの都合で、電子契約での同意手続きは10月3日になってしまい、タイムスタンプの日付も10月3日となったとします。

このように、本文で契約締結日が9月30日になっている契約書に10月3日のタイムスタンプが押されていて日付のズレが発生していても、不正なバックデートにはならないのです。

問題にならないバックデート

そもそも、書面による契約書でもバックデートとなっていることは当たり前です。たとえば、署名欄の日付が印字された書面を印刷してから署名または押印をおこない、契約相手方に郵送する場合には、署名欄の日付と契約締結日(契約当事者全員が署名した日)との日付が異なります。

その場合、社内の押印日付の記録などを見ていけば、電子契約におけるタイムスタンプと同様に、事後の日付で契約締結したことは明らかになりますが、このような押印実務上やむを得ないバックデートについては一般的に問題視されることはありません。

電子契約でも同様に、やむを得ないバックデートは問題にはなることはありませんが、後々トラブルに発展しないために、事前に協議を行った上で以下のような文言を契約書の末尾に記載しておくといいでしょう。

記載例

本基本契約は、2022年9月30日の両当事者による合意を証するため、2022年10月3日付で電子ファイルを作成し両当事者が電子署名を施す

効力発生日を変更する方法

契約書の本文に特段記載されていなければ、「契約締結日=効力発生日」となります。しかし契約締結前にスタートしてしまった取引に対して、後付けで契約を締結するような場合もあると思います。また、情報を公開した後に秘密保持契約書(NDA)を締結するといった場合もあります。

このような場合には、特定の過去の日付から効力を発生するよう効力発生日を変更することができます。この方法は遡及契約や遡及適用と呼んでおり、契約書に以下のように記載しておく必要があります。

記載例
  • 本契約は令和○年×月△日に遡って適用する
  • 契約締結日にかかわらず、20●●年●月●日より遡及的に効力を有する
  • 契約締結日にかかわらず、有効期間は20●●年●月●日より1年間とする

逆に、契約の効力が発生する日付を未来に設定することもできます。

例えば、翌年からスタートするプロジェクトのNDAをあらかじめ締結しておく秘密保持契約を結ぶ場合や、翌年度からスタートする業務委託契約などを結ぶ場合がそれに当たります。契約書内には以下のように記載しておきます。

記載例
  • 本契約は令和○年×月△日から適用する
  • 効力発生日は20●●年×月△日とする
  • 本契約の有効期限は20●●年●月●日より1年間とする

不正なバックデートは私文書偽造罪

押印実務上のやむを得ないバックデートは問題ないと書きましたが、不正なバックデートの場合には私文書偽造罪に問われることがあります。

例えば、契約書に記載した日付に当事者間の合意が成立してなかったにもかかわらず、これが合意されたかのように捏造した契約書を勝手に作成した場合や、契約相手方と意思を通じ合って共同して捏造した契約書を作成した場合、私文書偽造に該当する可能性があります。

【まとめ】タイムラグを最短化!改ざん防止には電子契約がおすすめ

契約書締結の際に気にする必要があるのが、署名欄の日付と契約締結日のズレ、「バックデート」であるとお伝えしました。

契約実務上、やむを得ずタイムラグが発生する場合、多少のバックデートが問題視されることはありません。

しかしながら、日付を虚偽したバックデートは会社のコンプライアンス上でも問題となります。避けるようにしましょう。その点、電子契約であればタイムスタンプが付与されるため、改ざんされることなく、不正なバックデートをしていないことが担保されます。

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