電子署名とは、電子契約で「印鑑」の役割を果たす機能のことです。つまり電子契約では、印鑑の代わりに電子署名を利用するによって安全に契約を取り交わすことが可能なのです。ここでは電子署名の役割・仕組みを分かりやすく解説します。
【電子署名の仕組み】2種類の技術を図解で解説
「安全と言っても、どんな仕組みか分からないと不安…」という方も多いと思いますので、ここでは電子署名に使われている特殊な暗号技術についてご紹介します。暗号技術は大きく2つに分けることができます。
1.公開鍵暗号方式
1つ目は公開鍵暗号方式という仕組みです。
この仕組みは「秘密鍵」と「公開鍵」を利用することで契約書の本人性を担保します。
秘密鍵とはデータを暗号化する鍵で契約書の作成者(送信者)が保持しており、公開鍵はデータにアクセスするための鍵で受信者が保持しています。秘密鍵と公開鍵はペアになっていて、ある秘密鍵で暗号化された契約書を全く関係ない公開鍵では契約書にアクセスするのは不可能です(隣の家に自分の家の鍵で入ることができないように、電子署名も第三者が勝手に鍵を開けることができないようになっています)。このように第三者が不正にアクセスできないため、契約書を受け取った方の本人性が担保されます。
また秘密鍵は本人が厳重に管理する鍵のため、本人以外が契約書を暗号化することはできません。ですのでペアになる公開鍵で契約書にアクセスできたら場合は「この契約書は秘密鍵を持つ本人が作った契約書だ!」と考えられます。このように契約書を送った方の本人性も担保されるのです。
2.ハッシュ関数
2つ目はハッシュ関数という仕組みです。これは契約書のデータを文字列に置き換える仕組みで、この文字列のことをハッシュ値と言います。
ハッシュ値はデータの指紋のようなもので、データごとにハッシュ値は変化します。データごとにハッシュ値が変わるということは、もし改ざんされた場合ハッシュ値が変化するということです。つまり元の契約書データのハッシュ値と見比べることでカンタンに改ざんを見破れるのです。
電子署名の役割とメリット
電子署名には本人性の担保・改ざん防止の2つの役割があります。ここでは2つの役割について詳しく解説します。
1.本人性担保
電子署名は特殊な暗号技術によって、本人以外が契約書にアクセスできない仕組みになっています。また電子署名によって「誰が」「どの契約を」取り交わしたかを証明することも可能ですので、本人以外のなりすましを検知でき、契約における本人性を担保することができるのです。
2.改ざん防止
電子署名は契約書の改ざんを検知する仕組みもあり、書類が改ざんされた場合は履歴が残ります。また、電子署名を行っている会社によっては、契約書の文言が第三者によって改ざんされると契約者本人に通知が届くシステムになっているものもあります。つまり電子署名で本人以外はそもそもアクセスできないことに加え、もし不正にアクセスできたとしても改ざんを検知できるので、電子契約は改ざんのリスクが非常に低いのです。
【電子署名の法的根拠】電子署名法の紹介
当然ですが、電子契約の法的効力には法的根拠があります。その法的根拠となる「電子署名法」を解説します。
電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
出典:電子署名法第3条
簡単に解説すると、電子署名が本人によって行われている場合に電子契約は法的効力を持つというものです。つまり、秘密鍵を厳重に管理して第三者が勝手に電子署名できない状況であれば法的に全く問題なく、もし裁判になっても安心です。
(定義)
第二条 この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
出典:電子署名法第2条
- 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
- 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。
- この法律において「認証業務」とは、自らが行う電子署名についてその業務を利用する者(以下「利用者」という。)その他の者の求めに応じ、当該利用者が電子署名を行ったものであることを確認するために用いられる事項が当該利用者に係るものであることを証明する業務をいう。
- この法律において「特定認証業務」とは、電子署名のうち、その方式に応じて本人だけが行うことができるものとして主務省令で定める基準に適合するものについて行われる認証業務をいう。
これは電子契約に法的効力を持たせるための要件が書かれており、以下の2点を満たせれば電子契約は法的に有効です。
- なりすまし・書類の改ざん、変更がされていないこと
- なりすまし・改ざんがされていないことを証明可能なこと
電子署名は公開鍵暗号方式・ハッシュ関数という仕組みで2つの要件を満たすことができます(※厳密には安全性を高めるためにタイムスタンプも必要で、さらにセキュリティを求める場合は電子証明書もあったほうが良いです)。
【まとめ】安全に契約できるのは電子署名のおかげ
電子署名は本人性の担保・改ざんの防止という電子契約に不可欠な役割を果たしており、そのおかげで安心して契約を取り交わすことができるようになっています。契約に必要な情報を本人がきちんと管理していれば、書面での契約よりも安全に契約を取り交わすことも可能です。
電子契約をもっと知る
弁護士監修の使える契約のノウハウを発信中!
格安&簡単な電子契約『クラウドコントラクト』を試してみませんか?
中小企業様や個人事業主様に最適な、格安で必要な機能がそろったシンプルな電子契約サービス『クラウドコントラクト』では、2週間無料トライアル(お試し利用)を実施しています。
タイムスタンプや電子署名といった必須機能はもちろん、相手への確認の手間を削減できる契約状況の確認機能などの便利な機能を備えつつも、直感的に使用できるシンプルなサービス。よって、印紙税や郵送代などのコストや作業時間を手軽に削減することが可能です。
また、カスタマーサポートも充実しており、電話やチャットでのお問い合わせも対応しておりますので、操作に不安がある方も安心してご利用いただけます。