【弁護士監修】電子契約用の契約書の文言の作り方&変更箇所を解説

2022/04/19 2022/08/18

監修:朝倉由美(弁護士。弁護士法人One Asia所属)

電子契約の導入の際に行う必要のある準備の1つが契約書の文言・表現の変更です。
「本書二通作成し」や「甲乙記名押印の上、各自一通を保有する」といった紙の契約書ではおなじみの表現も、ペーパーレスで印鑑が不要な電子契約にはそぐわないため、電子契約で使用する契約書は電子契約に即したものに変更する必要があります。

このような電子契約に対応した契約書の作り方や文言を変更するポイントを、例文付きで作成していきます。

【具体例】紙の契約書を電子契約に流用する際に変更すべき箇所一覧

電子契約用の契約書で表現を変えるべき条文

「本書2通作成し」といった紙を対象にした表現の変更が必要

紙の契約書で使用していた文言を電子契約で使用する契約書に流用する際に修正すべき点は様々ですが、まず初めに、多くの契約書で使われている、必ず修正が必要な個所をご紹介します。

「事前の書面による承諾なしに」【該当箇所】

契約の譲渡などの条項で使われることの多い「事前の書面による承諾なしに」という表現は「事前の書面または双方が合意した方法による電磁的記録による承諾なしに」と書き換えることで電子契約に対応させることができます。

この表現を用いることで、同意を書面または電子契約・メールなどの電子データのどちらでも取得できるようになります。
なお、「電磁的記録」という表現は「電磁的措置」としてもかまいません。

「本書2通作成し」【後文】

契約書の後文で使われる「本契約の成立を証として、本書2通を作成し」という表現は、「本契約の成立を証として、本電子契約書ファイルを作成し」という表現に変更することで電子契約に対応させることができます。

電子契約の契約書は電子データであるため、このような表現になります。

【印鑑を電子署名に変更】「甲乙記名押印の上」「署名捺印の上」「甲・乙各1通を保有」【後文】

紙の契約書の後文で使われる「記名押印のうえ甲・乙各1通を保有するものとする。」「署名捺印のうえ甲・乙1通を保有するものとする」という表現は、「それぞれ電子署名を行い、各自その電磁的記録を保管する。なお、本契約においては、電子データである本電子契約書ファイルを原本とし、同ファイルを印刷した文書はその写しとする。」という表現に変更することで電子契約に対応させることができます。

電子契約では印鑑の代わりに電子署名を行うこと、契約書のデータは電子データのまま保管することからこのような表現になります。

電子契約用に契約書の文言を作成&変更するポイント

電子契約書の文言を作成するポイント

ひとつ上で紹介したものは具体例でしたが、ここでは一般論として、電子契約導入時に既存の契約書の文言を変更する際にチェックすべきポイントをご紹介します。

「書面」関連の文言を「電磁的記録」に変更

「書面」とは、紙で行う契約で使用する用語です。電子契約の契約書である電子データとは異なるわけですから、従来通りというわけにはいきません。「書面」もしくは類似する言葉を変更して作成します。

「書面」の代わりとなる文言は「電磁的記録」または「電磁的措置」となります。どちらの表現を使用しても問題ありませんが、片方の表現に統一しておきましょう。
該当するのは「書面で交付」「書面で保存」「書面で保有」といった表現の箇所です。それぞれ「電磁的記録で交付」「電磁的記録で保存」「電磁的記録で保有」となります。

記載例

事前に書面または双方が合意した方法による電磁的措置による相手方の承諾を得なければ、本契約又は個別契約の下での自己の権利又は義務を第三者に譲渡し、又は担保に供してはならないものとする。

「写し(複製)」関連の文言を「原本と写し」を意味する表現に変更

契約を締結時には、契約者全員が原本を保存するため、契約者全員分の契約書を発行するのが一般的です(例:2社間契約の場合は2通)。
しかし電子契約の場合、電子データを「1通」と数えられないため、まぎらわしい表現となります。

そこで、作成した大元の電子契約データを原本と明示する文言を書き添えて置くとともに、印刷した電子データを「写し」とすることをはっきりと記しておきます。
条文では「作成した電子契約データを原本とする」「印刷したものは写しとする」といった表現を用いて書き換えてください。

記載例

甲と乙は、本契約の成立を証として、本電子契約書ファイルを作成し、それぞれ電子署名を行う。なお、本契約においては、電子データである本電子契約書ファイルを原本とし、同ファイルを印刷した文書はその写しとする。

電子契約書における署名欄の扱いと変更方法

電子データである電子契約書に印鑑は不要で、押印した印である印影も本来はなくても構いません。
しかし、電子契約で印鑑やサインと同じような意味を持っている電子署名は視覚的にわかりにくいため、イメージ画像として印影のイメージ画像を添付し、押印がなされたように見せる電子契約サービスも少なからず存在します。

よって、従来の紙の契約書にある、署名欄の横の押印スペースを無くす必要はありません。とはいえ、電子契約で挿入されるのはあくまで「イメージ」の画像に過ぎないため、「印」の丸印や押印欄は削除することをおすすめします。

ちなみに、契約書の署名欄の位置は契約書の前半(上部)後半(下部)どちらに記しても問題ありません。お好きなほうをお選びください。

電子データでの保管と書面での保管を併用しない

2022年1月、電子帳簿保存法の改正が施行されました。
電子帳簿保存法はこれまで紙で保管されてきた契約書などの書類を電子データ化(電磁的記録)を推進する法律です。制定は1998年ですが、数々の変遷を経て、現在も内容が新しく変わっています。

今回の改正では、電子データで作成された契約書や領収書について、電子保存が義務化されました。
実はこれまでは、電子契約で締結した契約書を一方は電子データとして、もう一方を紙に印刷して保管する方法が容認されていました。ほかにも、電子契約した契約書を電子データとして保管し、さらに印刷して紙で保管することも可能だったのです。

しかし、新たな法改正により、契約書や領収書などの電子データは必ずそのままの形で保存しなければならなくなりました。
電子データと紙データの併用が認められていた際には、契約書のテンプレートの「書面」関連する部分の書き換えで済みました。例えば「書面または電磁的記録(電磁的措置)」と変えることで電子と紙双方に対応し、正式な契約書になりえたのです。

ところが先にお伝えしたとおり、2022年の改正によって現在は紙と電子契約の併用が不可となりました。よって、「書面または電磁的記録(電磁的措置)」という表現は使用せず、「電磁的記録(または電磁的措置)」のみとしましょう。

【電子契約書の保管方法】印刷して保管はNG!

電子契約書の保管方法

2022年1月の電子帳簿保存法の改正により、電子取引の際の契約書などのデータの書面による保存は認められなくなりました。
電子契約で締結した契約書は電子データとして保存することが義務化されたのです。

既に電子契約で締結したすべての契約書を電子データで保管している方は問題ありませんが、これまで契約書のデータを紙に印刷して保管していた場合は、早急に電子保存への移行を検討する必要があります。
具体的には、電子契約サービスに入っている契約書の電子データをダウンロードしてPCやGoogleDriveといったオンラインストレージに保管するか、もしくは電子契約サービスにそのまま入れておく対応が考えられます。

いずれにしても、電子保存義務化に沿ったペーパーレス化への対応が求められていることに変わりはありません。印刷しての保管はただちに辞め、電子契約で締結した契約書を印刷して保管していた方は電子データの契約書が残っているか確認しておきましょう。
加えて、取引先に詳しい説明を行って双方が法に則った形で契約書を保管するよう手配しましょう。

繰り返しますが、今後、電子契約で締結した契約書を紙で保管することは一切認められなくなります。電子契約の導入を検討している方は、紙と電子データの併用は認められない前提で準備を進めていくことが重要です。

【まとめ】電子契約用の契約書の文言は必ず変更を!

従来の書面での契約締結の文言では、電子契約にはそぐわない部分が出てくるのは当然です。
書面での契約締結で用いていた契約書をそのまま流用するのは適切ではなく、電子契約に適した形での文言の変更が不可欠になります。

基本的には、上でご紹介した「書面」関連の文言を「電磁的記録」にする他、写しなどの箇所の表現修正などで対応可能です。
しかし、企業ごとに要件や取引・契約内容などはケースバイケースなのが実情ですので、契約書の変更後は法務部や顧問弁護士などの専門家に相談することを強くおすすめします。
また、電子契約の導入時は、契約書の文言の変更作業に発生する時間も考慮して導入計画を立てるようにしてください。

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