【弁護士監修】業務委託契約とは?契約書の作成方法と注意点、必要な11の条項を丁寧に解説

監修:朝倉由美(弁護士。弁護士法人One Asia所属)

会社外部のフリーランスを起用するような機会がある場合、これらの人と結ぶ「業務委託契約」が必要となります。名前としては聞いたことがあっても、実際に従業員を雇う雇用契約とどのような違いがあるのか、詳しいところまで把握していないことが多いのではないでしょうか。
このページでは、業務委託契約とはどのようなものか、また業務委託契約を結ぶ際に作成する業務委託契約書に記載する内容や作成方法・注意点についてお伝えします。

業務委託契約の基礎知識&よくある疑問

まず、業務委託契約とはどのようなものかを確認しましょう。

業務委託契約とは、会社に関する何ら化の業務を、社外の人や会社に委託することを内容とする契約をいいます。「お仕事をしてもらう」という観点では雇用契約が頭に浮かぶ方も多いと思いますが、雇用契約はあくまで、使用者と従業員という関係となる契約を結ぶことで、労働を提供する契約です。これに対して、業務委託契約は一定の業務の結果を提供するものである点で異なります。

【使う場面】業務委託契約書の例

契約書の表題(タイトル)は比較的自由に設定できるため、表題に「業務委託契約書」と記載されていない場合もあります。ここで一般的に業務委託契約書に該当する契約書の事例をご紹介しますので参考にしてください。

  • 営業代行業務委託契約書
  • 代理店契約書
  • ホームページ制作業務委託契約書
  • コンサルティング業務委託契約書
  • 会社経営委任契約書
  • 物品加工委託契約書
  • 清掃業務委託契約書
  • 保守業務委託契約書

業務委託契約の種類

ここまで「業務委託契約」と大雑把にお伝えしてきましたが、この業務委託契約は、提供する内容によって、請負契約・委任契約・準委任契約の3つに分かれます。
それぞれの契約の内容がどのようなものか詳しくみてみましょう。

1.請負契約

ポイント
  • 仕事の完成を目的としている
  • 建設等の工事やホームページ制作、物品の加工といった仕事で使用される

業務委託契約で締結される契約の1種類目が「請負契約」で、建設や運送、物品の加工、ソフトウェア開発、デザイン制作、ホームページ制作といったもので締結されることが多いです。

請負契約とは民法に規定されている契約の一つで、仕事の完成を目的としています。例えば、プログラミング業務について、雇用契約を結ぶ場合と、請負契約を結ぶ場合があります。雇用契約は指揮監督のもとに業務をすればいいのですが、請負契約は成果物を納品するのが目的です。

請負契約を締結する際は、いわゆる「偽装請負」に注意が必要になります。これは、契約の種類が請負契約となっているものの、実際には指揮監督のもとに業務をすることが契約の内容とされている請負契約を指すもので、労働基準法等の適用がされることになるので気をつけましょう。

2.委任契約

ポイント
  • 法律行為の委任を目的としている
  • 成果物の納品といった何らかの仕事を完成させることを目的とするわけではない
  • 主に士業(弁護士など)に業務を依頼する際に使用される。

業務委託契約で締結される契約の2種類目は「委任契約」です。

委任契約も民法に規定されている契約の一つの種類で、法律行為の委任を目的とした契約です。特に何か仕事を完成させるという契約ではないのが請負契約との違いで、発注している側に指揮命令をする権限があるわけではない点で雇用契約と異なります。ですので、請負契約のように何か納品物の納品が無いという場合でも、契約内容に沿った業務をしていれば報酬を請求する権利があります。

委任契約の業務の対象は法律行為となっており、例えば契約を結んでもらうことを弁護士に依頼する、税理士に税務申告を依頼するというような場合に使用されます。法律行為以外の業務の委任については、後述する準委任契約が締結されます。

3.準委任契約

ポイント
  • 法律行為以外の委任契約と同じ性質を持つ契約に使用される
  • 委任契約と同様、成果物の納品といった何らかの仕事を完成させることを目的とするわけではない

業務委託契約で締結される契約の2種類目が「準委任契約」です。これは、前述した「委任契約」に該当する法律行為以外の事実行為を委任する契約に使用され、委任契約に準じるものという意味で「準委任契約」と読んでいます。

準委任契約は委任契約同様、一定の業務に従事する契約で、請負契約のように成果物を納品するのが義務となるわけではありません。また、一定の業務に従事するものの、クライアントの指揮命令に属するわけではない点で雇用契約とも異なります。

ちなみに、準委任契約は、特に民法に規定されている契約ではありません。しかし、民法に規定されていなくても、当事者の必要に応じて契約を結ぶことは否定されていませんので、準委任契約も結ぶことは法的に可能です。

業務委託契約の報酬形態

単発型

業務委託契約のうち、1回きりの単発の仕事。

定額型

業務委託契約のうち、一定額を支払って継続的に業務を行ってもらう形態(保守契約など)。

成果報酬型

業務委託契約のうち、成果に応じて報酬が発生する形態。

派遣契約と業務委託契約の違い

業務委託契約と派遣契約の違いは、業務に従事する者に対する指揮命令の有無と契約を締結する相手にあります。

派遣契約とは、労働者を派遣してもらう契約のことをいい、派遣社員を派遣してきてくれる派遣会社と結びます。その派遣契約に基づいて派遣会社は派遣社員を派遣し、派遣社員は派遣元による指揮命令に基づいて派遣先の業務を行います。このように、業務委託契約では直接の契約関係があることに対して、派遣契約では派遣してもらう人と直接の契約がないのが最大の違いです。また、派遣されてくる社員は雇用契約に基づいて指揮命令に基づいて業務を行うことも業務委託契約と異なっています。

業務委託契約書に貼る収入印紙の金額

請負契約の場合

請負契約書には、記載されている契約金額(報酬額)が1万円未満の場合を除いて収入印紙を貼る必要があります(※電子契約の場合は不要)。必要な金額は以下の通りです。

記載された契約金額 必要な収入印紙の額
金額の記載なし 200円
10,000円未満 非課税
1,000,000円以下 200円
1,000,001円~2,000,000円 400円
2,000,001円~3,000,000円 1,000円
3,000,001円~5,000,000円 2,000円
5,000,001円~10,000,000円 10,000円
10,000,001円~50,000,000円 20,000円
50,000,001円~100,000,000円 60,000円
100,000,001円~500,000,000円 100,000円
500,000,001円~1,000,000,000円 200,000円
1,000,000,001円~5,000,000,000円 400,000円
5,000,000,001円~ 600,000円

出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」

委任契約の場合

契約期間 必要な収入印紙額
3ヶ月以内 非課税
3ヶ月を超える 4,000円(一律)

委任契約の場合、基本的に収入印紙は必要ありません。しかし、契約期間が3ヶ月を超える契約の契約書(国税庁が定める第7号文書に該当)には収入印紙を貼る必要があります(逆に言うと、契約期間が3ヶ月以内の場合は収入印紙は不要です)。

契約期間が3ヶ月を超える委任契約書の収入印紙額は一律4,000円となっており、契約金額や内容によって変動することはありません。なお、電子契約の場合は契約期間が3ヶ月を超える場合であっても収入印紙は必要ありません。

出典:国税庁「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」

準委任契約の場合

契約期間 必要な収入印紙額
3ヶ月以内 非課税
3ヶ月を超える
※基本契約書を含む
4,000円(一律)

準委任契約も委任契約と同様で、基本的に収入印紙は必要ありません。しかし、契約期間が3ヶ月を超える契約の契約書(国税庁が定める第7号文書に該当)には収入印紙を貼る必要があります(逆に言うと、契約期間が3ヶ月以内の場合は収入印紙は不要です)。

この準委任契約には代理店契約書など、収入印紙が必要な契約が多数含まれるので注意が必要です。基本取引契約書も収入印紙の対象となるので注意しましょう 。

なお、電子契約の場合は契約期間が3ヶ月を超える場合であっても収入印紙は必要ありません。

出典:国税庁「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」

業務委託契約書に記載すべき条項&規定一覧

ここからは、業務委託契約書に記載する条項・規定について、どのような事項があるのか、その内容と例文について確認しましょう。

1.委託業務の内容

ポイント
  • その業務委託契約で委託する業務を定める項目
  • 内容は具体的に細かく定める

委託業務の内容とは、この業務委託契約でどのような業務を委託するかをいいます。

当事者間の話し合いでどのような業務を行うのか合意をしたとしても、これをきちんと契約書の内容として定めておかないとトラブルに発展するリスクがあるため、契約書に記載する委託業務の内容は具体的に定めることが大切です。これを怠った場合、委託側は業務委託をしたにもかかわらず、「その業務は私達の業務ではないのでお断りします」と断られるという危険があり、受託側には、想定していない業務に対して従事をさせられることになるというリスクを負うことになります。

記載例(ホームページ制作の場合)

第○条(委託業務の内容

甲は乙に対して、Webサイトの制作を発注し、乙はこれを請け負う。

※実際に作成する契約書では、業務内容をさらに細かく指定するようにしましょう。上記のようなホームページ制作業務の場合は、Webサイトの制作といっても、単純にコードのみを書くのか、デザインも行うのか、画像等の素材はどちらが負担するのか、対応するブラウザを決めるのか、など合意に至ったものについては事細かく記載をするようにします。

2.委託期間

ポイント
  • 業務を委託する期間を定める項目
  • 継続して取引を行う際は、更新についての条項(自動更新条項)を定める

委託期間とは、業務委託契約で委託される期間がある場合に規定される内容です。例えば、webサイトの保守点検を委託するような場合、いつからいつまでの期間保守点検とするのかが問題になります。これによって、委託者としてはいつまでの保守点検に応じるかを決めることになり、受託者としてはいつまでの保守点検に応じなければならないかが決まります。

また、継続して取引をする予定がある場合には期間の更新についての条項(自動更新条項)を定めておきましょう。

記載例

第○条(委託期間)

  1. 本件業務は、本契約は令和○年○○月○○日から令和○年○○月○○日までとする。
  2. 期間満了日の○か月前までにいずれの当事者から何らの意思表示なき場合、同じ条件でさらに○年間更新されるものとする。

3.報酬額と支払い時期・支払方法

ポイント
  • 報酬額と支払時期、支払方法を定める条項
  • 金額は具体的に記載する(決まっていない場合は計算式を記載)
  • 支払いは銀行振り込みが一般的
  • 税別・税込・振込手数料の負担者の規定を忘れない
  • 支払時期は明確に(決まっていない場合は時期を明確に判断できる方法を記載)
  • 支払いが遅れた時の遅延損害金も定める

報酬額と支払い時期・支払方法についての規定を置きます。条文の書き方にはいくつかありますが、報酬の支払いは委託者の義務に属するものになるので、「第○条(報酬の支払)」などと記載すれば問題ありません。

報酬の額は具体的に記載できる場合には具体的に記載し、具体的な額が決まっていない場合には、計算式を記載します。消費税別なのか消費税込みなのかも具体的に記載しましょう。

金額とともに、いつ支払いをするのか、支払方法についても記載が必要です。支払い時期は、日付が決まっているならば日付を、具体的な日付が決まっていないならいつになるのか明確に判断できる判断方法を規定します。支払い方法は、基本的には受託者の指定する銀行に振り込む方法をしておきましょう(付随する振り込み手数料についても明確に定めておかないとトラブルになるので記載が必須です)。

最後に、金銭の支払いが遅れたときの遅延損害金についても明確に規定しておくと良いでしょう。

記載例

第○条(報酬の支払)

  1. 甲は乙に対し、委託業務の対価として、金○○○○○円(税込)を支払う。
  2. 甲は乙に対して、令和○○年○○月○○日までに、乙が指定する銀行口座に振り込む方法により報酬を支払うものとする。振込手数料などの履行のための費用については、甲がこれを負担する。
  3. 委託代金の支払いが遅延した場合には、甲は14.6%の割合による遅延損害金を乙に支払う。

4.業務担当者

ポイント
  • 委託する業務の担当者を定める条項
  • 特定の担当者に業務を行ってもらう必要がある場合に使用する
  • 企業など複数名が仕事に従事している場合は特に重要

業務委託契約書における「業務担当者」とは、受託者が契約で合意した業務を担当する人のことをいいます。

受託者が会社のような場合、実際にはどのような人が業務あたるかわからない場合もありますし、途中で担当者が変わる可能性もあります。業務委託契約は中身によってどのような人に業務に携わってもらうかが非常に重要な場合があるため、このような場合に備えて業務担当者についての条項を設けましょう。

業務担当者を決めるパターンとしては、

  1. 特定の人を決める
  2. 担当する人の属性を決める
  3. 担当する人の一定数以上を特定の属性にする
といったことが考えられます。
たとえば、著名なデザイナーやミュージシャンが業務を担当することが不可欠な場合には、契約自体は会社でしても、従事させるのは会社所属のデザイナー・ミュージシャンということになります。このような場合には、特定の人を決める形での業務担当者の定めを置きます。

記載例1(特定の人物を定める場合)

第○条(業務担当者)

本業務を担当する乙の業務担当者は、○山○男とする。

特定の人でなくても良い場合でも、一定のスキル・資格・業務経験を持った人に担当してもらいたい場合があります。このような場合には、必要とする属性を決めて、条項に記載します。

記載例2

第○条(業務担当者)

本業務を担当する乙の業務担当者は、○○の資格を有するものとする。
本業務を担当する乙の業務担当者は、業務経験○年以上の者とする。

一定数以上に資格や経験者がいれば良いような場合には次のように記載しましょう。

記載例3

第○条(業務担当者)

本業務を担当する乙の担当者のうち、○割は○○の資格を有するものとする。

5.再委託

ポイント
  • 再委託とは委託された業務を再度、別の会社や個人に委託すること
  • これを認めるかは契約による
  • 認める範囲や許可の必要性を細かく定めることも可能

再委託とは、委託された業務をさらに他の者・会社に再委託することをいいます。イメージとしては下請けに出したものを下請けの会社がさらに下請けにする、いわゆる孫請けのようなものです。

再委託は建設業などではこれを広く許容することが多いですが、デザインや作曲など個性が重要視される契約については認めないのが一般的です。また、プライバシーマーク取得企業など、再委託をされると、再委託先の調査や届け出まで必要となる場合があります。このような事情から、

  • 再委託を認めるかどうか
  • 再委託の全部を認めるか一部のみ認めるか
  • 再委託に事前に許可が必要かどうか
  • 再委託の許可の撤回の可否
といったことを決定し、契約書に記載をします。

記載例

第○条(再委託)

本業務について乙が再委託をすることを認めない。
本業務について乙は○○については再委託をすることができる。ただし再委託をする際には事前に甲の許可を得るものとする。
本業務の再委託の許可については協議のうえ事後に撤回をすることができる。

6.権利の帰属

ポイント
  • 業務によって生じた権利(著作権など)の帰属を定める条項
  • 委託側に権利を譲渡する旨を定めるのが一般的
  • 規定しないと権利が委託先に残ってしまうため必須
  • 譲渡不可の著作者人格権は放棄する条項を定める

権利の帰属とは、業務上で発生しうる様々な権利について、誰に帰属することになるのか、という問題です。

たとえば、プログラムを制作すると、製作者や著作権に付随する権利は、何も規定をしなければ制作をした人に帰属することになります。もちろんこれでは、委託したほうがプログラムを使えないという事態に発展しかねません。また、他にも研究開発に携わるような場合には特許権が、デザインのような場合には意匠権が発生したります。このような権利が誰にどのように帰属するかについて、きちんと規定をしておきましょう。

ちなみに、著作権について著作者に認められる著作者人格権やプログラム人格権という権利はそもそも譲渡ができないため、著作者人格権を行使しないということに同意をする文言も必要となります。

記載例(システム開発の場合)

第○条(著作権)

  1. 本業務委託により発生する著作権は、乙から甲に譲渡するものとする。
  2. 乙は本件にかかるプログラム人格権の行使をしない。

7.秘密保持

ポイント
  • 情報漏洩対策や個人情報保護の観点から重要な項目
  • 秘密情報に該当するものを具体的に定めておく

秘密保持とは、業務で取り扱う秘密情報について、外部に漏らさない取り決めのことをいいます。例えば、プログラミングを委託するときに、委託者の会社の顧客の情報にアクセスすることができるような場合があります。当然ですが、このような情報を安易に外部に漏らせば不法行為になり損害賠償の対象となります。
しかし、秘密情報に該当するものか、どのような行為が漏洩なのか、責任を負うべきものかどうかなどについて争いにならないように、契約書でしっかり決めておきましょう。

記載例

第○条(秘密保持義務)

1. 甲及び乙は、本契約に際して双方が開示する営業上又は技術上その他一切の情報のうち、相手方に対し秘密である旨明示して開示した情報及びその性質に鑑みて秘密として取り扱われるべき情報(以下「秘密情報」という。)を厳重に保管及び管理する。
ただし、次の各号に該当する情報については秘密情報に含まない。

  1. 開示を受ける前に公知であったもの
  2. 開示を受けた後に自己の責に帰すべき事由によることなく公知となったもの
  3. 開示を受ける前に既に自ら保有していたもの
  4. 正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負わずに入手したもの
  5. 開示を受けた情報によることなく独自に開発したもの

2.甲及び乙は、相手方の事前の承諾なく、秘密情報を第三者に開示又は漏洩してはならない。ただし、法令により開示義務を負うとき又は法律上権限のある公的機関により開示を命じられたときは、必要な範囲内に限って、開示することができる。この場合、秘密情報を開示しようとする者は、事前に相手方に通知しなければならない。

3.甲及び乙は、秘密情報につき、本契約の目的の範囲でのみ使用する、本契約の目的の範囲を超える複製又は改変が必要なときは、あらかじめ相手方から承諾を得なければならない。

4.甲及び乙は、本契約が終了したとき又は相手方から要求があったときは、相手方の指示に従い、秘密情報の返還又は破棄その他の措置を講ずる。

8.報告義務

ポイント
  • 進捗などの報告に関する義務を定める条項
  • 業務の進捗に影響を与える事情が発生した場合に報告する義務を定める場合もある

報告義務とは、業務の進捗などについて、相手にそのことを報告をする義務をいいます。

たとえば、ホームページ制作の請負契約を結んだ場合に、業務が全く進んでおらず、引き渡しの期日になっても何も手がつけられていないようなことが発生したとしましょう。この場合、途中進捗を把握しておけば、新たな発注先を探す準備をしておくなどして損失を最小限に減らすことが可能となります。円滑に業務を進めるためにも、報告義務はきちんと設定しておきましょう。

また、業務の進捗に影響を与える事情が発生したような場合に報告をする義務を定めておく場合もあります。

記載例

第○条(報告義務)

乙は、業務の遂行にあって、甲の求めに応じて進捗状況など必要な報告をしなければならない。

9.禁止事項

ポイント
  • 業務遂行時などで禁止する行為や手段を定める条項
  • 意図しない方法で業務を行うことで混乱や損害が生じることを防ぐのに有効

禁止事項とは、契約や業務の遂行にあたって特に禁止をする事項のことをいいます。これは、委託先が業務を行う際に意図しない方法を使って委託側に損害を与えたり、業務に混乱を生じさせることを防ぐために必要となる重要な項目です。

例えば、ある製品についてのプロモーションを委託する場合、受託者が誇大広告をしたり、ブランドイメージを毀損するような方法の広告を出す、ステルスマーケティングに手を染めるといった事態が発生する可能性があります。このような事態も、禁止事項を定めておけば未然に防止できますので必ず設定しておきましょう。

記載例

第○条(禁止事項)

本業務について乙が下記行為を行うことを禁止する。
1.…

10.損害賠償

ポイント
  • 業務によって生じた損害の賠償に関する規定
  • 一方的な規定は下請け法などに抵触する恐れもある

損害賠償とは、業務上発生した事由によって損害が発生したときの賠償とのことをいいます。業務の遂行にあたって委託先が委託者に損害を与えることがあるため、その際のスムーズな解決のために条項を設けておきます。

損害賠償の規定を定める際は、内容を限定する記載や広すぎる記載に注意しましょう。これには損害賠償義務を故意・重過失を限定するような場合や、逆に「理由のいかんを問わず」としている場合です。一方的な規定があるような場合には片方に過度な責任が発生してしまうほか、場合によっては下請け法などに抵触する可能性もあります。

記載例

第○条(損害賠償)

甲及び乙は、業務に際して発生した損害について、これを賠償する。

11.解約(契約解除)

ポイント
  • 事前の通知や契約解除が可能な事由など、契約解除に関する条件を定める条項
  • 途中まで行った仕事に対する報酬の支払いに関する条件も定めておく

解約(契約解除)とは、業務委託契約の解約(契約解除)についての定めです。一定に事由がある場合には、契約を解除することになります。

契約解除の項目では、どのような事由があった場合に解除をすることができるのか、解除をする場合、途中まで行った仕事に対する報酬の支払いをどうするのか、事前の通知の要否などについて合意をして、契約書に記載するようにしましょう。

記載例

甲及び乙は、●か月前までに相手方に書面で通知すれば、本契約を解約することができる。

業務委託契約書の作成の流れ

業務委託契約書作成の16ステップ
  1. 表題(タイトル)をつける
  2. 前文をつける
  3. 契約内容を記載する(ここに「業務委託契約書に記載すべき条項&規定一覧」の内容を盛り込む(以降の重複個所はスキップ))
  4. 契約期間を定める条項を作る
  5. 損害賠償について記載する
  6. 契約譲渡の禁止について記載する
  7. 秘密保持について記載する
  8. 契約解除事由について定める
  9. 管轄合意(訴訟で使用する裁判所)について定める
  10. 完全合意の条文を記載する
  11. 準拠法を定める
  12. 分離可能性について記載する
  13. 通知条項(相手への連絡を必須とする事由)を記載する
  14. 後文をつける
  15. 日付欄を作成する
  16. 署名・押印欄を設ける

契約内容が前項の「業務委託契約書に記載すべき条項&規定一覧」に変わりますが、それ以外はほかの契約書の作成の流れと相違はありません。業務委託契約書だけでなく、契約書には決まった型が存在しますので、上の一覧にある条項(表題など)はすべて盛り込むようにしましょう。

なお、契約書作成の具体的な流れと上記の条項の解説は以下の記事で行っていますのでご参照ください。

【弁護士監修】ゼロからわかる契約書の書き方&作り方

業務委託契約書を作成する際の注意点と失敗しないためのポイント

業務委託契約書の作成と締結で失敗しないためには、まずは内容を具体的に定めることを意識しましょう。これはほかの契約書にも広く共通して言えることですが、契約内容が具体的に定められていない契約書はトラブルのもとになります。また、業務委託契約では下請け業者の保護を目的とした下請法にも注意が必要です。

それぞれ詳しく解説していますのでご確認ください。

1.内容を具体的に記載する

ポイント
  • 契約者間の認識の相違がトラブルにつながるため、条件等は曖昧な部分を極力なくし、具体的に定めたほうが良い
  • 例えば、業務担当者の場合「業務に習熟した者」ではなく「当該業務の実務経験〇年以上」といったように定める

契約書作成の際には内容を具体的に記載するようにしましょう。

契約書は後日争いを起こさないように、争いが起きた場合でも契約書に記載された内容に沿って解決するためのものです。にもかかわらず、契約書の内容が具体的でなければ、今度は契約書に記載された文言について争いが起きることになり、契約書を交わした意味がなくなってしまいます。

問題のある例

たとえば、業務担当者について「業務に習熟した者を業務担当者とする」としてしまったような場合、委託者・受託者で習熟しているかどうかの認識がズレてしまった場合には、判断ができなくなる可能性があります。

このような場合は「当該業務の実務経験〇年以上のものを業務担当者にする」といった具体的な条件を定めましょう。

契約書の内容はとにかく詳細に記載するようにしてください。

2.下請法の抵触に注意する

ポイント
  • 正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」
  • 有利な立場にある元請け業者の業務の適正化と下請け業者の保護を目的とした法律
  • 60日以内に支払いを行わないことや、返品を強要することなど、様々な行為が禁止条項が定められている

契約にあたって下請法に抵触しないように気をつけましょう。

下請法とは、正式名称を下請代金支払遅延等防止法といい、優越的地位にある元請け業者の業務の適正化による、下請け業者の保護を目的とする法律です。この法律によって、支払いを60日以内にしない、返品を強要するといった様々な行為が不公正な取引として禁止されており、これに抵触すると行政指導がされるなどのペナルティがあります。

有利な内容で契約をしたいと思った結果これらの規定に違反しないようにすべきです。

【まとめ】業務委託契約書作成のタスク一覧

業務委託契約書に必要な条項リスト

  1. 委託業務の内容
  2. 委託期間
  3. 報酬額と支払い時期・支払方法
  4. 業務担当者
  5. 再委託
  6. 権利の帰属
  7. 秘密保持
  8. 報告義務
  9. 禁止事項
  10. 損害賠償
  11. 解約(契約解除)

全契約書共通の必要な条項

  1. 表題(タイトル)をつける
  2. 前文をつける
  3. 契約内容を記載する
  4. 契約期間を定める条項を作る
  5. 損害賠償について記載する
  6. 契約譲渡の禁止について記載する
  7. 秘密保持について記載する
  8. 契約解除事由について定める
  9. 管轄合意(訴訟で使用する裁判所)について定める
  10. 完全合意の条文を記載する
  11. 準拠法を定める
  12. 分離可能性について記載する
  13. 通知条項(相手への連絡を必須とする事由)を記載する
  14. 後文をつける
  15. 日付欄を作成する
  16. 署名・押印欄を設ける

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