「フリーランスとして仕事をしたい。でも業務委託契約書を作るのは大変…」とお考えではありませんか?
本記事では業務委託契約書のテンプレートサイトと、作成する際の注意点をご紹介します。手間をかけずに業務委託契約書を作成したい方はぜひ、参考にしてください。
フリーランスに契約書が絶対に必要な理由
業務委託契約書はフリーランスとして働くなら必ず作成する必要があります。
しかし、なぜ作成する必要があるのかご存じでしょうか?フリーランスに業務委託契約書が必要な理由は大きく分けて2つあります。以下で理由を説明します。
1.トラブル回避
業務委託契約書で、請け負う業務範囲・報酬などを定めることでトラブルの回避に役立ちます。「事前に約束していた内容以外の業務を任された」「十分な報酬が支払われていない」など様々なトラブルが想定されますが、明確に契約内容を定めることでトラブルに発展するリスクを抑えられるのです。
また、契約書の形で記録に残しておけば、もしも裁判に発展するリスクも抑えたり、不当な損害賠償請求を防止する役割も果たします。
2.信頼関係の構築
業務委託契約書を作成することで、互いに安心して契約関係を維持できます。正式な契約書が無い状態で仕事を進めてしまうと、契約を守らないリスクが高まってしまいます。
契約が守られるか不安に感じていては、安心して仕事に集中できないでしょう。業務委託契約書を作成すれば、お互い安心してスムーズに仕事を進められます。
フリーランスのトラブルに関するデータ
令和2年5月内閣官房日本経済再生総合事務局にて実施された「フリーランス実態調査結果」によると、業務委託を受けて仕事を行うフリーランスのうち約4割が、取引先とのトラブルを経験しています。さらに、トラブル経験者のうち約6割はきちんと業務委託契約書を作成していなかったり、取引条件が明確に記載されていなかったことが分かっています。
このようなフリーランスの実態調査からも、業務委託契約書を作成することが非常に重要であることがお分かりいただけると思います。
またトラブルの内容としては「発注の時点で、報酬や業務の内容などが明示されなかった」人が4割で、「報酬の支払が遅れた・期日に支払われなかった」人が3割という結果になっています。
業務委託約書の雛形が手に入るテンプレートサイト紹介
1から作成するのがなかなか難しい業務委託契約書の作成に役立つ、契約書のテンプレートを廃止しているサイトをご紹介します。
ウェブさえ
Web系フリーランス向けの業務委託契約書を無料でダウンロード可能なサイト。必須の項目が予め記載されており、さらに項目の説明が丁寧になされているのでかなり使いやすいです。契約書作成に関して自信のない方におすすめです。
bizocean
業務委託契約書以外請求書、見積書などの様々なテンプレートを揃えているサイト。業務委託契約書だけでも120種類のテンプレートがあるので、仕事内容に合わせて最適なテンプレートを利用することが可能です。こちらも無料でダウンロード可能です。
含めるべき項目とチェックすべきポイント
- 委託業務の内容
- どのような業務を委託するか、内容を明らかにする項目です。話し合いの中では合意を得たうえで、内容を明記した契約書を残せば、後にトラブルに発展するリスクを軽減できます。
- 委託期間
- いつまで業務を請け負うのかを決める項目です。この項目を曖昧にすると委託期間が過ぎた作業をどこまでも遡って修正するよう依頼される、といったトラブルの原因になります。
- 報酬額と支払い時期・支払方法
- 金額と支払い時期について決めましょう。金額、支払い時期は可能な限り具体的に記載すると良いです。支払い期日が過ぎた場合のペナルティについても決めると安心です。支払い方法は銀行振り込みを推奨します。
- 業務担当者
- 企業など複数名の業務担当者がいる場合に、業務の担当者を定める項目ですが、フリーランスには不必要な項目です。テンプレートに記載してある場合は削除しましょう。反対に依頼者がこの項目のある契約書を出してきた際は、どのような意図か確認した方が良いです。
- 再委託
- 再委託とは、委託された業務をさらに他の企業・フリーランスに業務委託することです。再委託を認めないケースも多いので、こちらも確認しておくことでトラブルを回避できます。
- 権利の帰属
- 業務上で発生する様々な権利が、誰に帰属するのか明確にする項目です。何も規定が無い場合、著作権はフリーランス側に帰属しますが、成果物を巡るトラブルを避けるためにも明記しておきましょう。
- 秘密保持
- 業務の中で知り得る秘密情報の漏洩を禁じる項目です。どの情報が秘密情報なのか、どのような行為が情報漏洩なのか、明確にしないと争いの原因になります。また自分でも気づかぬうちに秘密保持を破る危険性を軽減できます。
- 報告義務
- どんな場合に報告義務が生じるか、事前に定めておく項目です。業務の進捗報告はどのペースで行うのか、どんなトラブルが発生した場合に報告するのか、依頼者に確認しておくと、不用意なトラブルを回避できます。
- 禁止事項
- 業務の遂行にあたって禁止する行為を定める項目です。フリーランス側が意図せず、依頼者に損害を与える事態を避けるために、明記しておく必要があります。
- 損害賠償
- 業務の中で損害が発生した場合、フリーランスがどの程度の賠償責任を負うのかを定める項目です。もし払えない金額の損害が発生した場合、損害賠償の上限額が設けられていないと、多額の赤字に陥るリスクもあるので注意が必要です。
- 解約(契約解除)
- 業務委託契約が、どのような場合に解約となるのかを定める項目です。途中まで行った業務に対してどのように報酬を払うのか、解約の条件はどうするのか、明記しておくとトラブル防止に役立ちます。
業務委託契約書の作成のポイントと注意点
フリーランス向けの業務委託契約書を作成するコツと注意すべきポイントを解説していきます。違反することで罰則が発生するものもあるのでご注意ください。
1.可能な限り記載内容を明確にする
トラブルになりやすい業務内容や報酬については、特に明記する必要があります。
例えば、Webサイト制作の業務委託の場合
- 納品後の修正期間はいつまでか?
- ホームページの運用作業などは業務に含まれているのか?
- サーバーやドメインなどの環境設定に追加費用は必要なのか?
報酬も同様です。支払い期限・金額において、認識のズレが起こらないように具体的に定めておきましょう。
消費税や源泉徴収の取り扱いはどうするか?報酬を振り込む際の銀行手数料はどちらが負担するか?といった問題もトラブルの原因になりやすいので、こちらも予め定めておくと安心です。
2.想定されるトラブルを事前に記載する
業務を進める中で起こりうるトラブルについては、事前に記載してトラブルを回避することが重要です。すべてのトラブルについて具体的に記載することが理想的ですが、事前に具体的に定めるのが難しい場合は、「話し合いによって今後の対応を決める」と記載しておく必要があります。3.偽装請負への該当に注意
偽装請負とは、業務委託と見せかけて、実質的には労働者として仕事をさせることです。偽装請負をするとフリーランスは
- 本来は労使で折半すべき社会保険料の支払いを、フリーランスに押し付ける
- 労働基準法の規制から逃れ、不当にフリーランスを働かせる
具体的には、依頼者が業務時間や休日を指定してくるなど労務管理をしている状態や、依頼者がフリーランスに直接作業を指示している状態は偽装請負の可能性があります。
4.請負契約・委任契約・準委任契約のどれに該当するか確認する
業務委託契約と呼ばれている契約は、法的には以下の3種類に分類されます。フリーランスの仕事は請負契約に該当するものが一般的ですが、これによって印紙税額が異なってくるため、必ず弁護士に確認しておきましょう。
- 請負契約
- 仕事の完成を目的とした契約。ホームページ作成や物品の加工などの成果物を作る契約で使用する。
- 委任契約
- 法律行為を委任する契約。弁護士や税理士などの士業との契約が該当。
- 準委任契約
- 法律行為以外の行為を委任する契約。成果物を納品するわけではないが、一定の業務に従事する契約。
5.【罰則あり】収入印紙の貼り忘れと金額間違いに注意
委任契約の場合は収入印紙が不要です。しかし請負契約の場合、第2号文書・第7号文書のどちらかに当てはまるため、業務委託契約書に収入印紙を貼る必要があります。もし、収入印紙を貼り忘れると、過怠税として本来納めるべきであった印紙代の3倍の金額を徴収される可能性があります。
もともとの印紙代の額が大きいと、罰金額が100万円を超える過怠税が発生する危険性もあります。請負契約の場合は収入印紙の貼り忘れにはくれぐれもご注意ください。
具体的な印紙代については以下で解説します。
請負に関する契約書【第2号文書】
第2号文書とは請負契約書を指し、契約金額に応じて収入印紙の金額が変わるのが特徴です。印紙税の金額は契約金額が高額になるにつれて大きくなります。一方で、契約金額が1万円未満の場合、収入印紙は不要です。
なお、クラウドコントラクトのような電子契約を利用した場合、契約金額に関係なく印紙税は非課税となります。
契約金額 | 印紙税額 |
---|---|
契約金額の記載なし | 200円 |
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上100万円未満 | 200円 |
100万円超~200万円 | 400円 |
200万円超~300万円 | 1,000円 |
300万円超~500万円 | 2,000円 |
500万円超~1,000万円 | 10,000円 |
1,000万円超~5,000万円 | 20,000円 |
5,000万円超~1億円 | 60,000円 |
1億円超~5億円 | 100,000円 |
5億円超~10億円 | 200,000円 |
10億円超~50億円 | 400,000円 |
50億円超 | 600,000円 |
第7号文書
第7号文書とは継続的取引の際に必要な契約書のことで、契約期間が3ヵ月を超える委任契約と準委任契約の業務委託契約書が該当します(3ヵ月未満であれば印紙税は不要)。第7号文書の場合は、契約金額に関わらず一律で4000円の収入印紙が発生します。
なお、クラウドコントラクトのような電子契約を利用した場合、こちらも契約金額に関係なく印紙税は非課税となります。
【まとめ】フリーランスに契約書は必須!運用は電子契約がおすすめ
トラブル回避・信頼関係構築の観点から、フリーランスには業務委託契約書が必要だとお伝えしました。ぜひ、今回ご紹介したテンプレートサイトを利用して、安心して働けるように業務委託契約書を作成してください。
ちなみに、電子契約を利用する場合は収入印紙は不要、加えて、契約書の作成や発送にかかる手間と時間を大幅に削減することが可能です。日々、業務委託契約書の作成にウンザリしている方には電子契約の導入をおすすめします。
当サイト「クラウドコントラクト」は中小企業や個人事業主の方に最適な、シンプルで使いやすい電子契約サービスをお手頃価格で提供しています。興味がある方はぜひ、無料トライアルをお試しください。
格安&簡単な電子契約『クラウドコントラクト』を試してみませんか?
中小企業様や個人事業主様に最適な、格安で必要な機能がそろったシンプルな電子契約サービス『クラウドコントラクト』では、2週間無料トライアル(お試し利用)を実施しています。
タイムスタンプや電子署名といった必須機能はもちろん、相手への確認の手間を削減できる契約状況の確認機能などの便利な機能を備えつつも、直感的に使用できるシンプルなサービス。よって、印紙税や郵送代などのコストや作業時間を手軽に削減することが可能です。
また、カスタマーサポートも充実しており、電話やチャットでのお問い合わせも対応しておりますので、操作に不安がある方も安心してご利用いただけます。
弁護士監修の使える契約のノウハウを発信中!
電子契約の今を知る