取引先から電子契約を依頼された時の対処法。必須の受け入れ準備と知識をまとめて解説

取引先から電子契約による契約の締結や契約書の電子化を依頼されたときに行うべき対処法として必要な受け入れ準備のやり方を解説するとともに、最低限知っておくべき知識をまとめてご紹介します。

使用する電子契約のタイプを確認

電子契約を依頼されたときに最初にやるべきことは、取引先が利用する電子契約サービス(システム)のタイプの確認です。

電子契約サービスは大きく分けて「立会人型」と「当事者型」の2種類があり、それぞれ特徴と必要な準備が異なります。この2つは発生するコストと手間が大きく異なることから、電子契約を受け入れるか否かを判断する要素になるので必ずご確認ください。

1.立会人型

立会人型はメール認証で契約が可能な電子契約です。非常にカンタンに利用できるので、現在は立会人型の電子契約が広く普及しています(現在ご覧いただいている当サイト『クラウドコントラクト』も立会人型の電子契約サービスです)。

立会人型の電子契約サービスの使い方
  1. 送信者側(=電子契約を打診してきた取引先)から送られたメールにアクセス
  2. 電子署名を行う(※特別な機械などは不要)

この2STEPだけで契約を完了できます。電子署名もクリック一つで行えるので手間はほとんどかかりません。簡単すぎて不安になった方もおられると思いますが、タイムスタンプや電子署名によってセキュリティ対策が行われているので、紙の契約書と同等レベルの安全が保障されています。

このように、立会人型の電子契約サービスは簡単に導入できるため、使用を依頼された場合は受けるほうがおすすめです。

2.当事者型

当事者型とは「電子証明書」を利用する電子契約です(電子証明書は厳格な本人確認を行ったうえで、国の第三者機関である認証局から発行される証明書です)。こちらは、何らかの方法で送信者側から送られた契約締結に使用するURLを記載したメールを第三者が受け取って勝手に契約を締結してしまう、なりすましのリスクをほぼゼロにできるのが特徴です。

ただし、当事者型を利用するには受信者側も認証局で本人確認を行い、発行費用を支払う必要があります。また、自社でも同じサービスに加入する必要がある電子契約サービスもあります。セキュリティの高さがメリットではありますが、立会人型の電子契約も十分なセキュリティ機能を有していますので、個人事業主や中小企業の方が多額のコストと手間を負担して利用する価値は高くありません。よって、断れる相手なのであれば断ってもよいといえます。

受け入れを検討する際は、これらの手間とセキュリティを総合的に考えましょう。

必要な受け入れ準備一覧

電子契約を初めて利用する場合、現状の社内規定や電子化する契約書の種類を確認する必要があります。このプロセスを省略すると社内規定違反・法律違反の原因になってしまうので注意が必要です。契約書の効力が認められずトラブル発生時に不利になることもあるので必ず確認してください。

ここでは利用にあたって、最初に気をつけるべきポイントをご紹介します。

1.社内規定の確認・変更

まずは社内規定の確認です。これまで書面の契約書で取引を行っていた企業では社内規定が電子契約に対応していないケースがあり、そのまま電子契約を行うと社内規定違反となってしまう可能性があります。

例えば「文書」や「押印」は書面の契約書に特有の表現なので、契約に関する規定にこのような表現のみが存在する場合は電子契約に対応するように追記・変更を行う必要があります。最も簡単なのは「文書(電子契約書を含む。)」「押印(電子署名を含む。)」のように元の社内規定に追記する方法です。

2.契約書の種類の確認

次に、取引先が電子化したい書類が法令上電子化が可能な書類かどうか(法令で電子契約による締結が認められているか)を確認しましょう。

契約書の内容によっては電子契約が認められないケースがあるため、この作業は絶対に必要です(取引先から電子契約を依頼される状況の場合、取引先が電子化できる契約書であることを確認してから電子契約を依頼しているのが普通ですが、契約は双方が当事者であるため、自社でも一応確認しましょう)。現時点で、不動産関連の契約書は電子化が不可能なものもあります。

なお、このような法律の規定は複雑であるため、法務部や顧問弁護士に相談することをおすすめします。

3.契約書の文言の確認

契約書を電子化するにあたって、文言を電子契約に対応するように変更する必要があります(例えば「押印」は「電子署名」に変えるなどです)。契約内容のすり合わせの際に電子契約に対応した表現を使う必要があるので、受信者側の方も把握しておくとすり合わせがスムーズです。

契約書の表現が電子契約に合っているかどうかは送信者側で最終チェックされているはずですが、受信者側も締結前にしっかりと確認し、無効な文章や表現が含まれた状態で契約を締結しないよう注しましょう。

4.電子契約サービスの操作方法を確認する

「操作していたら、契約書の内容を確認する前にうっかり合意してしまった!」というような事態を避けるためにも、サービスの操作方法は事前に確認しておきましょう。取引先に操作説明書を送ってもらったり、電話で説明してもらったりなどして操作に慣れておくと安全です。

また、電子契約サービスを提供している会社にサポートしてもらうこともおすすめです。

わからないことがある場合や、取引先からの説明が不十分であったり対応が遅い場合は、操作案内書やサービス資料に記載してある電話番号、もしくはメールアドレスに問い合わせましょう。サービスによってはチャットによるサポートを提供していますので、それらを使用することもおすすめです(なお、チャットの回答が機械的な場合はAIが回答している可能性が高いので、このような場合は電話をかけたほうが良いです)。

トラブルなく電子契約を導入するポイント

「電子契約は安全!」と言われても、使ったことがないサービスはやはり不安なもの。ですので、ここからは電子契約を利用するうえで安全性を高めるためのポイントや、リスクを限りなく抑えつつ契約書を電子化するノウハウをご紹介します。

【機能面の確認】タイムスタンプと電子署名がある電子契約サービスを利用する

タイムスタンプ機能があるかどうか確認しましょう。 タイムスタンプの役割は主に以下の2つで、安全に電子契約を使用するためには必要不可欠なものです。

  1. 法的安全性の強化
  2. 電子文書の長期保存

タイムスタンプ機能とは契約が「いつ」契約されたかなど時刻を記録する機能で、電子署名と組み合わせることで高い安全性を発揮します。

通常、タイムスタンプがないとセキュリティ上の問題で契約書を3年までしか保存できません。契約書は長期保管が必要なものであるため、保存期間が3年だとかなり不便です。しかしタイムスタンプがあればセキュリティの維持が可能となり、きちんとセキュリティの更新を行えば10年以上も契約書を保存できます(※更新は電子契約サービスが自動で行うため、お客様の側で対応は不要です)。

安全性・使い勝手の観点からタイムスタンプは必須の機能です。

重要度の低い契約書から電子化

最初は取引金額が少ない契約書・秘密保持契約書の電子化や、前回と条件や内容が変わらない契約の更新手続きの電子化を行いましょう。内容のすり合わせの前にうっかり契約を締結してしまうなど、慣れない電子契約で思わぬトラブルに発展することもあり得ますので、リスクヘッジとしてリスクの低い契約書から優先的に電子化して電子契約に慣れることがおすすめです。

またまだ付き合いが浅い取引先と電子契約を取り交わすのが不安という場合も、重要度の低い契約書から電子化すれば安心して電子契約を受け入れられます。

合意締結証明書を毎回ダウンロードする

合意締結証明書とは「いつ、誰が、どのメールアドレスを使って契約したか」をカンタンに確認できる証明書のことです。

合意締結証明書は電子契約サービスのアカウントにログインすればいつでもダウンロードすることができます。しかし、もし何かのトラブルでログインできない状態になると、いつ誰が契約した書類か分からなくなってしまいます。よって、合意締結証明書はダウンロードしてPCに保管しておくと安心です。

ちなみに、合意締結証明書の呼称は事業者により異なりますので、利用前に名称を確認しておきましょう(現在ご覧いただいているクラウドコントラクトでは「合意締結証明書」と呼んでおりますので、迷わずご利用いただけます)。

書面の契約書と組み合わせて利用してみる

電子契約は安全かつ簡単に導入できるます。しかし、どうしても不安に感じる方は「自社保管分の原本」を紙の契約書で作成してもらうという方法がありますので、最初はこの方法から始めてみるのも1つの方法です。「電子契約なのに紙の契約書も使う」とはどういうことか?実は電子契約では自社では紙の契約書を原本として保管し、取引先では電子ファイルを原本として保管するハイブリッドな契約が可能なのです。

書面の契約書とセットで契約を行う手順
  1. 自社の原本は紙で作成してもらい、押印をもらう(従来通り、紙の状態で原本を保管可能)
  2. 取引先は同じ契約書を電子契約サービスで作成して契約を締結する(電子ファイルとして原本を保管可能)

この方法なら、これまで通り書面の契約書を原本としつつ電子契約を締結することが可能なので安心して契約を結べます。

まとめ:電子契約受け入れ時のタスク一覧

やることリスト
  1. 電子契約サービスのタイプを確認し受け入れの可否を判断
  2. 受け入れる場合は以下の4つの準備を行う
    1. 社内規定の確認
    2. 契約書の種類の確認
    3. 契約書の文言の確認
    4. 電子契約サービスの操作方法の確認

電子契約を依頼されたときは、上記の準備は必ず行いましょう。社内規定に違反していたり、電子契約が正しく取り交わされていなかったりすると、万が一裁判になったときに契約書が証拠力を持たないケースがあります。安全に契約を結ぶためにも、電子契約を受け入れる際はキッチリ準備を整えるようにしてください。