クーリングオフ期間の起算日を明確にする方法とは|特商法改正に触れながら解説

2023/07/14 2024/01/09

商品やサービスに関する契約をしたものの、「やはり解約したい…」と後悔した経験はありませんか?このような契約トラブルを防止のため、また消費者保護の観点から設けられた制度がクーリングオフです。クーリングオフを活用すれば、消費者が行った訪問販売などの取引において、一定期間内なら無条件で契約を解除できることが可能となります。

クーリングオフには期限があり、「起算日を含めて8日以内(20日以内)」と定められています。では、正確な起算日とはいつを指すのでしょうか。「クーリングオフ 起算日」で検索すると「消費者が業者から法定書面(契約書)を受け取った日」との結果が得られます。しかし消費者と郵送(普通便)で契約書のやり取りを行う場合の「起算日」ははっきりしません。消費者自身もいつ受け取ったかが明確ではなく、そもそも忘れる可能性も否定できないのです。

最近特商法が改正され、契約書の電子化対応が認められました。タイムスタンプを付与する電子契約では起算日が明確になり、無用なトラブルを回避できるようになったのです。この記事ではクーリングオフの基本的な内容と新たな法改正について詳しく解説します。電子契約活用のメリットについても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

【基礎知識】クーリングオフとは

クーリングオフとは、商品やサービスの契約締結をした後でも、一定の期間内なら申込みを撤回したり、契約解除を行ったりできるしくみを言います。一定の期間内とは、契約した日(書面を受け取った日)を含めて8日以内とされ、無条件で契約を解除できる制度となっています。クーリングオフには、その場の勢いで契約してしまった消費者の「頭を冷やす(cooling-off)」という意味が含まれています。

一般的な商取引において、商品を販売する業者と消費者では情報や知識などにおいて格差があるものです。クーリングオフは、必ずしも対等とは言えない「立場が弱い」消費者を保護するために誕生した背景があります。解約の条件も理由も問われない消費者優位の制度法律とも言えるでしょう。

なお2023年6月の法改正により、クーリングオフは従来の「書面」に加え、電磁的記録でも行えるようになりました。電磁的記録とは電子メールのほか、USBメモリ等の記録媒体の交付、事業者が自社のウェブサイトに設ける専用フォームなどが当てはまります。

連鎖販売取引(マルチ商法)や業務提供誘引販売取引(内職商法、モニター商法等)の場合は、クーリングオフの期間は20日間が認められています。また通信販売にはクーリングオフ制度がないことにも注意が必要です。

クーリングオフが適用されるサービスとは

消費者にとっては強い味方となるクーリングオフ制度ですが、どんな取引にも適用されるわけではありません。対象となる取引は訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供契約、連鎖販売取引(マルチ商法)、業務提供誘引販売取引(内職・モニター商法など)、訪問購入の6形態です。

またこれらの形態であっても、クーリングオフ期間が過ぎてしまったり、営業や仕事用のための契約だったりと場合によっては適用されないこともあります。

ここからは事例とともに、クーリングオフが適用されるサービス、取引形態について詳しく見ていきましょう。

訪問販売

自宅や職場などを訪れ、商品やサービスの販売を行う取引形態です。キャッチセールス、アポイントメントセールス、催眠商法(SF商法)なども含まれます。「店舗に類する」常設展示場で該当する商品の販売を行う展示会などの場合も訪問販売と見なされます。法定書面(契約書)を受け取った日から起算して8日間はクーリングオフ期間となるため解約できます

事例
自宅や職場などを訪れ、商品やサービスの販売を行う取引形態です。キャッチセールス、アポイントメントセールス、催眠商法(SF商法)なども含まれます。「店舗に類する」常設展示場で該当する商品の販売を行う展示会などの場合も訪問販売と見なされます。法定書面(契約書)を受け取った日から起算して8日間はクーリングオフ期間となるため解約できます

電話勧誘販売

事業者が消費者に電話をかけ、商品やサービスへの勧誘を行う場合をいいます。消費者から電話をかけさせて勧誘するケースも電話勧誘販売にあたります。消費者庁の特定商取引法ガイドでは、「電話を一旦切った後、郵便、電話等によって消費者が申込みを行った場合でも、電話勧誘によって消費者の購入意思の決定が行われた場合」も該当すると説明されています。加えて、インターネット回線を使って通話する方法(映像を伴う場合も含まれる)を用いた場合であっても「電話」にあたると見なします。法定書面(契約書)を受け取った日から起算して8日間解約可能です

事例
資格教材を販売する電話勧誘業者から「以前受講していた講座はまだ終わっていない」との電話があった。業者は通信講座の受講者名簿に載っていた会社員などに電話し、新たな、自宅学習に切り替える手続きを案内していた。しつこい勧誘で数十万教材を契約させられたため、クーリングオフを行った。

特定継続的役務提供

特定継続的役務とは、特商法で規制される7つのサービスのことです。エステティックサロン、一定の美容医療(例:脱毛やニキビ、しみなど皮膚に付着するものの除去や活性化に関するもの、皮膚やしわなどの軽減、脂肪の減少など)、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスが当てはまります。これらのサービスで「一定期間を超える期間にわたり、一定金額を超える対価を受け取って提供」することが特定継続的役務提供にあたります。法定書面(契約書)を受け取った日から起算して8日間のうちに解約できるクーリングオフが可能です。

事例
エステサービスがリーズナブルな価格で試せるクーポンを入手。実際に店舗に出かけてみると「このままだとシミが増えてしまうから続けてサービスを受けたほうがいい」と心理的に負い目を感じさせる勧誘を行い、高額の契約を結ばせる。そもそも、不安をあおるような不当な勧誘行為(不実告知、重要事項の不告知等)は禁止されているため、契約の取消しもできる。

訪問購入

消費者から依頼がないのに、自宅に訪問し、着物や貴金属、古銭、切手などの品々の買い取りをしつこく促す取引形態です。一見消費者にとって問題のないサービスのようにも思えるのが訪問購入の特徴です。しかし消費者が希望していないのに無理に買い取りを行ったり、十分な説明をせず二束三文で買いたたいたりなどの事例が報告されています。高齢者や女性などを狙った強引な業者が多い傾向にあります。法定書面(契約書)を受け取った日から起算して8日間の間にクーリングオフが可能です

一方、「消費者の利益を損なうおそれがないと認められる物品」「規制すると流通が害されるおそれがあるとみなされる物品」は訪問購入の適用対象外です。自動車(二輪を除く)や家具、家電(洗濯機、冷蔵庫など)、本・CD・DVD・ゲームソフト類、有価証券は対象外の品物となっています。加えて、消費者が自ら自宅での契約締結を請求した場合も適用から除外されます。

事例
自宅に突如、「不要なアクセサリーを買い取りたい」と業者が訪問してきた。会社名や氏名なども明確にせず、口調も強引で怖かった。金のネックレスなど多数のアクセサリーを安価で買い取られた。後に市場価格よりもかなり安く買い取られたことが判明したので、クーリングオフを希望したが、該当業者と連絡が取れない。

連鎖販売取引

個人を販売員として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘し、組織を拡大してさらに商品や、役務の販売を行う取引のことです。「他の人を加入させれば利益が得られる」と勧誘するケースが多いのが特徴です。いわゆるマルチ商法で、ネットワークビジネス、システム販売などと呼ばれる取引形態です。「他の人を勧誘させれば紹介料がもらえる」などの言葉で勧誘し、現金はもちろん、入会金やサンプル購入などさまざまな名目で1円以上を負担させる場合はすべて連鎖販売取引に当てはまります。法定書面(契約書)を受け取った日(商品の引渡しのほうが後である場合には、その日)から数えて20日以内であればクーリングオフが可能です

事例
久しぶりに高校時代の友人から連絡があり、体にいいという水の購入をすすめられた。水を販売するグループに入会すれば割引で購入できる上、1人会員を増やすごとに紹介料が支払われるという話だった。通常よりかなり高額の水を購入して会員を募ったが、思うように集まらない。しかし会員勧誘のノルマが達成できないため、自腹で大量の商品購入を強要されるようになった。

業務提供誘引販売取引

「後々仕事を紹介するから、収入が確実に得られる」などの名目で、商品やサービスを購入させる取引形態です。いわゆる内職・モニター商法にあたります。消費者に仕事をするための高額な教材を買わせたり、モニターとして実商品を購入させたりします。法定書面を受領した日から20日間なら解約可能です

事例
「ネットビジネスで成功する秘訣を教えます」との誘い文句で勧誘され、初期投資として高額なシステム利用料を支払う契約を締結。言われたとおりに作業をしてもまったく利益が出なかった。そればかりか、「他の人は成功している。スキルが足りない」とまで言われてしまった。

クーリングオフの期間が過ぎてしまったらここをチェック!

クーリングオフは法定書面を受領した日から8日間、もしくは20日間の間に商品やサービスを無条件でキャンセルできる権利です。ではサービスや商品の購入をやめたいと考えたとき、すでにクーリングオフの期間が過ぎてしまっていたらどうすればいいのでしょうか。

実はクーリングオフの期間が過ぎていても、契約の取消しや無効が認められるケースがあります。事業者が消費者をだましたり脅したりしてクーリングオフを行使する権利を妨げたことが認められる場合です。このような時は、所定の期間が経過していてもクーリングオフが可能です。

また訪問販売や電話訪問販売での契約では、日常生活に通常必要とされる分量などを超える大量の商品購入などがあれば、契約締結時から1年間は解除が可能です。連鎖販売取引、特定継続役務提供などで長期契約をしている際も、残りの期間の契約の解除が認められるケースも。あきらめる前に、消費者生活窓口など専門機関に相談してみることをおすすめします。

クーリングオフ適用外のケースとは

期間内であれば無条件で契約の解除、申し込みの撤回ができるクーリングオフ制度は、消費者にとって心強い制度と言えます。けれども、どんな取引でもすべてクーリングオフが可能なわけではありません。取引内容によっては、クーリングオフが適用されない場合もあります。意外なことに、利用者の多い通信販売もクーリングオフ対象外です。この他、クーリングオフが適用されない事例について具体的に解説します。

通信販売

通信販売では、消費者自らが何らかの広告を見てインターネットや電話、郵便などの方法で申し込むのが一般的です。これは他の取引のように「事業者側」からのアプローチではありません。消費者自身が他の商品と比較、検討する十分な時間的猶予の上で行われる契約だとも言えます。通信販売は冷静に判断できる取引内容であるため、クーリングオフ対象外となっているのです。

事例
インターネット通販で洋服を購入して着用したら、サイズが合わなかった。交換を希望したものの、返品は受け付けていないとのことだった。もう一度サイトをよく見返すと「返品できない」との表示が。

アドバイス

通信販売にはクーリングオフが適用されません。返品に関しては、それぞれの事業者によって「使用前に限り返品可能」「到着後2週間以内なら返品可能」といった形で特約が定められています。返品は定めた特約のルールに沿うことになります。返品特約が定められていない場合、商品を受け取った日を含めて8日以内であれば、消費者が送料を負担すれば、返品は可能です。

店舗で商品を購入

店舗で商品を購入する取引についても、クーリングオフは適用されません。こちらも消費者が店舗に出向き、自らの意思で購入を行っているためです。

事例
店舗で思いきって購入した高額な洋服が、別の店でかなり安く売られていた。着用前だから返品、返金を希望したが断られた。

アドバイス

店舗で商品を購入した場合は、返品を受け付けてもらえないと理解しておきましょう。ただしお店によっては、交渉により受け付けているケースもあります。商品の問題や店員の説明について明確に問題点を説明できるのであれば、無理を承知で交渉してみるのも一案です。

適用除外(法第26条)に該当するサービス

特定商取引法(特商法)のすべての条項の適用が除外される場合も、クーリングオフの対象外です。 例えば営業のため、事業者間で締結される取引や国又は地方公共団体が行う販売又は役務の提供などが適用除外(法第26条)にあてはまります。金融商品取引や宅地建物取引業法に関することなど、他の法令の規制がある場合も適用除外とされています。

事例
営む事業に関することで、求人広告会社から無料掲載すると電話で勧誘された。しかし実際は一定期間の無料掲載後、有料に自動更新されるサービスだった。しかし事業者間の取引のため、クーリングオフは適用されなかった。

3000円未満の商品を現金で購入

商品代金が3000円未満で、商品購入と同時に代金を支払った場合もクーリングオフはできません。

事例
数百円のタオルを購入し、代金を支払った。後々不要だと気づいたので、クーリングオフを希望したが断わられた。

消耗品を一部または全部を消費

化粧品、毛髪用剤、石けん(医療品を除く)、浴用剤、合成洗剤、洗浄剤など指定された消耗品に関しては、一部でも使用するとクーリングオフできないことがほとんどです。ただし消費者がそのことを書面で知らされていない場合はクーリングオフが可能です。

事例
訪問販売で購入した化粧水を使用したが肌に合わなかった。しかし消耗品なので、クーリングオフの対象外とされてしまった。

クーリングオフの方法と流れ

商品やサービスのクーリングオフを希望する場合、ハガキなどの書面に申込みの撤回や契約の解除を希望することを記します。契約(申込み)日、販売業者名、担当者名、商品等の名称、契約金額、契約者の氏名及び住所についても明確に記載しましょう。書面以外に電磁的記録(電子メールやUSBメモリ等の記録媒体、事業者のウェブサイトに設ける専用フォーム等)でもクーリングオフが可能です。クーリングオフの通知方法について、方法別に説明します。

書面やハガキでクーリングオフする方法

クーリングオフを書面で通知する際は、契約(申込み)年月日、販売業者名、担当者名、商品等の名称、契約金額、契約者の氏名及び住所を忘れずに記載します。ハガキの場合は「契約を解除する」旨を明確に記しましょう

ハガキで通知する場合は、郵便物を出した記録が残る方法が望ましいです。発信日が記録される郵便サービス「特定記録郵便」か「簡易書留」で送ることをおすすめします。また手元に残る証拠として両面コピーを取っておくことも重要です。クーリングオフを行う場合、定められた期間内の消印有効です。契約した商品、サービスの支払いをクレジットで行っている場合は、信販会社にも通知を行う必要があります。販売業者を販売店名として、販売店住所、電話番号も追記します。解約の意思を書面で伝える方法として、ハガキ以外に内容証明郵便で送る方法もあります。

電磁的記録(メール)でクーリングオフする方法

法改正により2022年6月からは電磁的記録でのクーリングオフが可能となりました。電磁的記録とは電子メールをはじめ、USBメモリ等の記録媒体や事業者のウェブサイトに設けられた専用フォームなどを利用する方法が該当します。

従来の書面と同様、契約(申込み)年月日、販売業者名、担当者名、商品等の名称、契約金額、契約者の氏名及び住所を明記します。振り込み方法(口座など)を記載しておいてもいいでしょう。メールで送信する際、クーリングオフなど問い合わせ専用アドレスがあればそちらに、ない場合は会社の代表アドレスに送信します。通知した内容や発信日を記録するため、送信したメールの保存に加え、画面のスクリーンショットも残しておきます。最低でも5年間は保存することを推奨します。

支払い方法をクレジット決済としているなら、信販会社にも同様のメールを送信します。事業者に送付したメールをアレンジし、販売業者を販売店名として、販売店住所や電話番号も加えておきましょう。

【2023年6月1日施行】特定商取引法の改正

特定商取引法(特商法)では、クーリングオフの対象ともなる訪問販売や電話勧誘販売など6取引において、事業者は書類を交付するよう義務づけられています。事業者は消費者と契約を交わす際、契約内容をはじめとする一定のルールのもと、記載すべき事項を明記して交付しなければなりません。これらは従来、「書面」での交付に限られていました。

2023年6月1日に施行された特商法の改正により、契約書面等の電子化対応が可能となりました。事業者が消費者に書面で示すべき事項は、電子メール送信など電磁的方法でも交付できるようになったのです。具体的な方法としては、PDF等で作成したデータファイルをメールで送信する方法や電子契約サービスの活用などが挙げられます。

書面の電子化に際しては、あらかじめ消費者の承諾を得るのが条件となります。また電子取引では、契約書面等の電子化では、データが消費者の受信端末(パソコン等)に記録された時点で「書面が到達した」と見なします。クーリングオフを行う場合、情報記録日が「起算日」となる点も留意しておきましょう。事業者はこれらの内容について、消費者にわかりやすく説明する義務も生じます

契約書面の電子化が可能に

特商法で義務づけられていた取引における契約内容の「書面」交付は、今回の改正で電子取引での対応も許容されるようになりました。しかし電子交付にあたって、事前に消費者から承諾を得る必要があることはお伝えした通りです。

クーリングオフの対象となる取引は、その形態ごとに必要な書類や明記すべき事柄が定められています。具体的には①申込書(訪問販売、電話勧誘販売、訪問購入の取引で必要)②契約書面(クーリングオフが適用されるサービスとはで紹介した6取引すべてに必要。通信販売は除く)③概要書面(連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘因販売取引の取引で必要)が該当します。これらの契約書面の交付について、電子化で対応が認められることとなりました。

では実際にはどのようなステップのもと、電子化での交付が行われるのでしょうか。ここからは電子化を行うにあたっての注意事項について詳しく説明します。

契約書面を電子化する上での注意事項

①どのような方法、内容で契約を取り交わすか説明する

契約書面において、従来の「書面」に加え「電磁的方法(電子化)」という選択肢ができたことについて、消費者に明示しなければなりません。まずは電子化の方法や種類、またその内容を示す必要があります。

例えば電子交付の方法については、電子メールを活用したデータ送信なども認められています。この他記録媒体(USBフラッシュドライブ、CD-R等)に必要なデータを保存しその媒体を交付する方法やデータをアップロードする電子契約サービスを活用する方法も認められています。どの方法を採用する場合でも、電子取引を行う前に丁寧な説明が必要になります。

データ送信に用いるファイル形式(PDFやワードといったデータの種類)なども事前に提示しておきます。さらに使用するソフトウェアやOSなどについても明らかにし、詳しく伝えます。

②重要事項を説明する

書類の電子化対応にあたり、「消費者が内容を理解した上で承諾へと進める必要がある」という観点から、事業者は次の重要事項をわかりやすく伝えることが義務づけられています(特商規10条1項)。

  1. 消費者の承諾がなければ原則どおり契約書面等が交付されること(第1項第1号)
  2. 電磁的方法により提供される事項が、契約書面等に記載すべきものであって、消費者にとって重要なものであること(第1項第2号)
  3. 電磁的方法で提供する場合においては、消費者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に消費者に到達したものとみなされ、かつ、到達した時から起算して8日(連鎖、業提の場合は20日)を経過した場合、クーリングオフができなくなること(第1項第3号)
  4. 電磁的方法により提供される事項を閲覧するために必要な電子計算機(映像面の最大径が4.5インチ以上であるもの)を通常使用し、かつ、当該提供を受けるために電子計算機を自ら操作(提供が完結するまでの操作)することができる消費者に限り、電磁的方法による提供を受けることができること(第1項第4号)

「承諾にあたっての説明は、事業者は消費者が理解できるように、平易な表現を用いなければならない」と明記されています。つまり、ルールとして決まった内容を読み上げるだけでは「わかりやすく」伝えたとは言えないのです。

例えば④の説明として消費者庁の資料では「4.5インチ以上の画面サイズを有するスマートフォン、コンピューター等の機器を日常的に使用し、その機器を自ら操作して、ファイルを保存できますか。そのような方でなければ、契約書面を電子メールで受け取ることはできません」と例示されています。消費者の視点に立ち、よりわかりやすい言葉で電子化への対応を求めることが大前提になっているのです。

③消費者がPCを扱えるか確認する

事業者が消費者に確認する内容の中には、「消費者の適合性」が挙げられています。書面の電子化にあたり、消費者が対応できるかどうかを見極める必要があるということです。消費者が電磁的方法により提供される内容を閲覧するための操作ができるかどうか、つまり日常的にPCを扱えるのか、電子メール送信などを行えるかなどを見定めなければなりません。

また消費者のPCの状況、「アップデートプログラムの配信を含むOS等の提供元」やセキュリティーに関わるサポートの有無なども確認します。この他、消費者があらかじめ指定する者(家族など)に対しても契約書面等に記載すべき事項を送信することを求めるかどうかなども確かめておかなくてはなりません

なお消費者がPCを扱えるかどうかについては、事業者が口頭で確認するだけでなく、実際の操作を行う必要があることも記載されています。事業者が用意したサイトに消費者がアクセスし、操作を行えるかどうかなど、実際の操作を介するなどして「消費者の適合性」を確認するよう求めています。

④消費者に電子取引で行うことの承諾を得る

契約書面を電子化する際、消費者への承諾を得るために事業者側がさまざまな説明を尽くす必要があります。消費者から電子交付の「承諾」得たと認められるには、口頭ではなく紙面やメールなどを受領しなければなりません。書面の交付以外の方法としては、以下の3つが挙げられます。

  1. 電子メール等によって承諾する旨を送信する方法
    SMS等でも可
  2. 事業者のウェブサイト等を利用する方法
    当該ウェブサイト等において消費者に必要事項を記入させ、承諾ボタンをクリックしてもらうようにすることも認められています。承諾書など作成した後、電子契約サービスを利用して承諾を得る方法もOKです※
  3. 消費者がDVDやUSBなどの電磁的記録媒体に承諾する旨を記録する方法
    その後、媒体を事業者に交付します

書面の交付以外は、事業者が出力(印刷)可能であることも示されています。加えて消費者が承諾したかどうかを確実に担保する方法として、消費者に一切の必要事項の具体的記入をさせずにチェックボックスに印を入れる方法、ボタンを押して進む方法などは「政令が定める方式に基づく承諾とはなりません」とも記載されています承諾のあり方について、より厳格に定義されている点に注意が必要です。

⑤承諾を得たことが分かる書面を消費者に交付する

消費者から、電子化の「承諾」を得たことの証として、書面の交付を行います。④のステップで消費者から受領した書面の控えを添付して交付しなければなりません控えについては、電子交付することが認められていないため、紙面での交付を行います
消費者庁の資料では、以下のような文面を例示しています。

承諾書文面例

「お客様が契約書面の交付に代えて、当社ウェブサイトにアクセスしてファイルをダウンロードすることにより契約書面の記載事項の提供を受けることについて承諾したため、当社は●●を販売する売買契約について、お客様にファイルをダウンロードしてもらうこととしました ●年●月●日 株式会社●● 」

全段階(④)の「承諾」を電子契約で結んだ場合は、締結済みのデータを印刷して消費者に郵送することが必要となります。なお、「特定継続的役務提供契約」と「特定権利販売契約」については例外的に取引をオンラインで完結させることが可能です。

⑥締結後は消費者の使用するPCに記録されたか確認する

契約書の電子交付では、交付する電子書面が消費者の使用するパソコン等に記録されたか、閲覧に支障がないかを、事業者が確認することとされています。 消費者庁の資料では、どのような方法で確認するべきかまでは明示されていません。例えば消費者のダウンロード作業が必要な方法にし、ダウンロードの実行の有無を確認できるのも一案です。このように消費者に一定の操作を求めるよう決めておけば、消費者のパソコン等に記録されたかの有無が確認できるようになります。

また提供した記載事項の一部を口頭(電話やオンライン)で読み上げて確認するなどの方法も考えられます。文字化けしたファイルなど消費者が閲覧できないような状態での記録は書面交付義務違反と見なされます。データがあって開けるというだけでなく、消費者が確実に閲覧できる方法を提示しなければなりません

電子取引で締結した場合のクーリングオフ期間の考え方

消費者の意思により契約を取り消すことのできるクーリングオフは、電子取引においても適用されます。一方で従来の書面交付と電子取引による締結では、起算日についての違いがあることを覚えておきましょう。

書面交付の場合は、消費者が契約書面等を受け取った日がクーリングオフの起算日とされています。電子交付では、消費者のパソコン等に情報が記録された日から起算します(特商法4条3項)。電子交付では、電子契約サービスなどウェブサイトを閲覧し、契約する方法を選択するケースもあるでしょう。この場合は事業者がサイトにアップロードして閲覧可能になった日ではなく、消費者がデータをダウンロードした日から起算します。記録媒体を活用する際は、書面と同様に消費者がその媒体を受け取った日から計算します。

【おすすめ】電子契約サービスを利用する場合の運用方法

起算日を間違えると、クーリングオフが可能な日数にも影響が及びます。わかりにくい部分もあるクーリングオフの起算日については、より明確な締結日を知りたいところです。電子契約サービスを使えば、タイムスタンプにより締結日がはっきりします。クーリングオフの起算日も明らかにすることも可能となります。そこで利便性の高い電子契約サービスを使って事前承諾から締結まで安全に取引を行う方法についてまとめてみました。

①消費者に電子化取り引きの承諾を得るため、承諾書を作成

電子化取引を行う場合は消費者の理解を得ることが大前提です。
承諾を得るための説明や取得にあたっての適合性等(PCの操作について等)を確認した後、これらについて「承諾した」と認めた証として承諾書を作成します。

②電子契約サービスを使って承諾書を締結

承諾書を作成し、手続きを行います。事業者が電子化を経て取引を行う旨を示し、消費者がそれを「承諾」したことを明らかにする手続きにあたります。

③上記で締結したデータを印刷して消費者に郵送

承諾を得たことを証する書面の交付は施行規則第10条第7項等で定められています。消費者庁は書面の交付は「本⼈や他者の気付きの材料」として必要だと意義を示しています。

④電子契約サービスを使って契約書の取り交わし

特商法規則(第8条第2項等)では、「ファイルに記録された書面に記載すべき事項について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置が講じられていること」と決められています。タイムスタンプを活用すると、この基準をクリアできます。他にもダウンロードの準備を行う場合に予定されるダウンロード元を消費者に通知することを求める規定などがあります。こちらも電子契約サービスを活用できます。

⑤締結

締結日をクーリングオフの起算日として計算します。

まとめ

2023年6月特商法改正により、契約書の電子化が認められました。書面による取引のみに限定されていた以前と比較すると事業者、消費者それぞれの利便性向上にもつながっています。

一方で、消費者保護の観点から、事業者側はさまざまな条件を満たさなければなりません。消費者側にとっても、自らの権利を守るクーリングオフに関して、明確な起算日を知っておく必要があるはずです。そこで役立つのが電子文書に付与されるタイムスタンプの仕組みです。タイムスタンプは刻印された時刻に電子データが存在した証です。またそれ以後の修正や改ざんが行われていない証明にもなります。特商法に関係する契約やクーリングオフでも役立つことは間違いないでしょう。

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