ホントに業務効率化できてる?ITツール導入の落とし穴

2022/09/30 2024/01/09

少子高齢化に伴い、労働力の減少が社会問題となっています。そこで2019年4月、国は「働き方改革関連法」を施行しました。業務効率化を図り労働生産性の向上や新たな人材を見出すために育児や介護との両立などさまざまな働き手への就業機会を設けることを目標として掲げています。その働き方改革を実現するための手段として注目されるのがITシステムの導入です。働き方改革実現のため、すでに多くの企業がITシステムの活用を進めています。

ITシステムの導入が加速する一方、現場から不満の声も上がっているといいます。これはシステム導入の決済者と現場での運用者が異なるために生じる問題です。決済者が機能やスペックばかりを重視してシステムを選んだ結果、利用者が求める「使いやすさ」が損なわれる結果となっています。

現場からは「かえって業務負担が増した」「高機能なシステムは一部しか使用していない」といった意見のほか、システム全体の十分な説明がなかったとの不満が聞かれます。

この記事ではITシステム導入の実際と共に、業務効率化を推進するはずのシステムが上手く活用されていない原因とその対策について解説します。

ITシステム導入企業の7割が導入後に課題を抱えている

経産省の傘下の独立行政法人として中小企業政策に取り組む中小機構は、業務におけるIT導入について多角的に調査を行っています(IT導入に関するアンケート調査報告書)。その中で「ITを活用した業務効率化・生産性向上に取り組んでいる企業」を対象に、IT活用する中で課題があるかどうかのアンケートを実施したところ、実に7割が「課題がある」と回答しています。

「IT導入後に課題を抱えている」と答えた7割の企業に具体的な課題について質問したところ、最も多い回答が「コスト負担が大きい」というもので全体の6割以上。続いて「導入したITを使いこなせない」「効果が把握できない」との声が多く寄せられました。またITを導入したものの「相談できる相手がいない」「導入したITが業務に適していない」という意見も見受けられます。

つまり、業務効率化や生産性向上につなげるため、ITシステムの導入を希望する企業は一定数存在することがわかります。一方でせっかく導入したもののコストパフォーマンスに不満を感じている、また上手く活用できていないなど、導入企業において満足度が低い結果となりました。

ITシステム導入後の満足度が低い原因とは

ビジネスへのIT導入について、IT製品のレビューを手がける企業が実施した別の調査でも「利用者の8割が現在導入されたシステムに不満を抱えている」との結果が出ています。なぜ導入したITシステムへの満足度が低い結果が生じてしまうのでしょうか。

その大きな原因と言えるのが、大多数の企業でシステムの選定者と実際に利用するユーザーが異なる点です。それぞれがITシステムに求めるニーズに大きな隔たりがあるのです。

同じ調査では、システムの導入選定者がITシステムを選ぶ際、機能性やスペックを重視するとの回答が多くなりました。対して現場のユーザーが求めているのは何よりも「使いやすさ」との答えが圧倒的多数となっています。現場で使うユーザーとの意思疎通が図れていないため、高い機能性を持つ高スペックなシステムであっても「使いにくい」との声が上がってしまう結果が生まれてしまいました。

さらに現場のユーザーの不満を聞き、7割の選定者が「導入したシステムの入れ替えやその検討に入っている」との調査結果も示されています。スペックや機能性にとらわれず、現場のニーズをくみ取って「使いやすい」システムを導入することが大切だと言えるでしょう。

ITシステム導入後に業務が増加したケースを紹介

電子契約などのITシステム導入は、業務の効率化や生産性アップを目的に進められています。電子契約サービス導入により、契約書など書類押印のための出社が不要になり、印紙削減が図れるなど多くのメリットが期待されています。

ところが電子契約サービスも導入によって、かえって業務が増えてしまったケースも存在します。
ITシステムの導入が業務量増加につながると考えられるのは次のような場合です。

電子契約に切り替えるために取引先の同意を得る作業で業務増加

先にご紹介した中小機構のIT導入に関するアンケート調査報告書によれば、ITシステム導入を実施していない企業、検討しているものの実施に至らない企業が少なからず存在します。自社や電子契約サービスに切り替えたとしても、取引先も同様に導入するわけではありません。一方的な導入でなく、取引先の同意を得る必要が出てきます。

書面でやり取りするすべての取引先に同意を得なければならないのです。
個々の企業のスタンスは異なるため、これには大きな手間がかかると予測されます。
中には電子契約取引の基本から説明しなければならないケースもあるでしょう。電子契約書が書面に変わらず証拠力を持つための条件など電子契約のあり方を伝えなければなりません。

丁寧な説明を尽くしても、納得してくれない取引先もあるでしょう。
また企業によっては導入できない個別の事情もあるかもしれません。
その場合は電子取引と並行して、従来通りに取引を続けていく必要があります。

電子契約が可能な企業、そうではない企業を区別し、リストアップして把握しておく作業が発生します。同意が得られるかどうかにかかわらず、骨の折れる作業を行うことになるでしょう。

契約相手のサポート作業で業務増加

電子契約サービスの中には、取引相手にリンク先のURLを送信し、クラウド上で契約締結ができるものもあります。あらためてアカウントを用意する必要がないため、自社にとっても取引相手にとっても手軽に導入できる便利なシステムです。ただし、双方がある程度のITリテラシーを有している場合に限られます。

相手がITに明るくないなど、場合によってはかなり詳細に作業内容を説明しなければならなくなるためです。取引先や契約相手のサポートが不可欠となり、結果的に業務量が増えてしまった3つの例を詳しく見ていきましょう。

<問い合わせ対応例①>「電子契約で締結したら費用が発生するの?」

電子契約サービスの中には、電子署名をする際に受信者側も費用が発生する場合がありますが、費用が発生しないサービスもあります。 そのため、費用の発生を不安に思う相手に対し説明する必要があります。

<問い合わせ対応例②>「同意の方法がわからないから教えてほしい」

多くの電子契約サービスの機能には、相手に入力いただくフリーテキスト欄の設置機能があります。署名欄や個人情報の記入欄等に配置したすべての箇所に必要情報を入力されないと同意ができないシステムを理解できていない場合、詳細な説明をする必要があります。

<問い合わせ対応例③>「間違えて却下してしまいました。どうしたらいいの?」

文書の「却下」とは契約を締結できない状態にすることです。同じ契約書では再び送付・締結ができなくなり、手続きをやり直さなければなりません。必然的に業務量は増加します。

ITシステム導入のポイントはサポート体制の充実さ

ITシステム導入にあたっては、2つの局面があります。システムの内容やできることを理解する段階である「導入から運用にいたるまで」と、実際の操作を含めた実務での契約の締結を行う「運用後」のそれぞれのフェーズです。どちらの局面においても、ITシステムサービスを手がけるベンダーからのサポートは欠かせません。各々のフェーズにおいてサポートが必要となる理由についてお伝えします。

導入支援サポートの重要性

業務効率化や生産性アップを期待され、導入された電子契約サービス(ITシステム)。しかし現場のユーザーにとって使いづらいシステムなら、定着は難しいでしょう。また自社内にIT関連のエキスパートが在籍するケースばかりとは限りません。結果的にユーザーに専門的な知見がなくても、システムを運用しなければならなくなります。導入による現場の負担は大きくなり、必然的に業務量も増えてしまう可能性もあるでしょう。

またシステム導入後の活用イメージを描けない点も問題です。何のためにサービスを導入したのか、最終的なゴールはどこにあるのかを具現化できないためです。チームや組織としてゴールを共有できない=システムを活用できていないということです。つまりシステムに明るい導入支援サポートがなければ上手く活用できず、望んだ成果が得られなくなってしまいます。せっかくのITシステム導入が、本末転倒の結果を生んでしまいます。

どんなに素晴らしいシステムであっても、使いこなせなければ意味がありません。効果的にシステムを運用するためにこそ、導入支援サポートを利用すべきだと言えるでしょう。

一方で、充実した導入支援サポートにはコストがかかるのも事実です。
コスト面がネックとなって、導入支援サポートの利用を思い切れない場合もあります。
そのため、自社だけでシステムを運用し、期待した効果を上げられるのかどうかを熟慮し、シミュレーションすることも大切です。自分たちでのシステム運用で失敗してしまっては、かえって費用がかかる可能性も否定できません。

システム活用の本来のゴールは業務効率化や生産性アップであるはずです。導入支援サポートを利用すれば、導入から運用支援、アフターサポートまで安心して運用していくことができます。導入支援サポートの内容は、価格だけでなく信頼するにたるシステムかどうかや汎用性の有無、また管理性が高いかどうかなども判断基準となります。これらを総合的に検討した上で、特に導入時は導入支援サポート費用を含めたコストで選択することをおすすめします。

運用後のサポート(アフターフォロー)の重要性

一見すると優れているように見えるシステムでも、運用を進めてから問題や課題が見えてくるケースは少なくありません。導入支援サポートにおいてアフターフォローの果たす役割の大きさは上記でもお伝えした通りです。

さらに電子契約をはじめ、DX推進の流れは加速しています。今後の法改正の可能性を含め、時代の変化に伴いさまざまな機能が必要になると予想されます。せっかく高額な費用や時間・手間をかけて運用するのですから、長期的に稼働させたいと考えるのは当然です。運用中の問題や改善点などを考えると、システムの保守サービス期間は気になるポイントです。

しかしながら、保守サービスの期間は5〜7年が一般的で、10年未満のサービスが多くなっています。10年間以上の保証はレアケースであり、システム運用中に期限が切れてしまったり、限界ギリギリの状態で運用を続けたりしなければならない可能性が出てきます。電子契約などビジネスの根幹をなす重要な内容をこのような不安定な状態にしておくことは信頼問題にもかかわります。10年以上、現役でシステムを稼働させるような保守サポート体制の整ったシステムを選びましょう。

運用サポートを請け負うベンダーの丁寧で細やかな支援があってこそ、長期間システムを維持することができるのです。例えば運用時から欠かさず定例MTGを行い、都度ヒアリングを実施するベンダーもあります。時代の変化や法改正で生じた機能の追加や改修対応にもスピーディな対応が可能です。それ以外にも、システム運用で生じるあらゆる相談を聞いてくれるサポートもあります。

特に導入時から関わった担当者が引き続きアフターフォローをしてくれれば、知識の蓄積や情報の共有ができるはずです。導入したシステムを長く使い続けるためにも運用後のサポート(アフターフォロー)がどうなっているかについても吟味することは重要です。

【まとめ】充実したサポートとITシステムで期待の成果があがる!

ITシステムを上手く活用すれば、国が掲げる働き方改革の実現はもちろん、業務効率化や労働生産性の向上など大きなメリットが得られるのは間違いありません。ただ、期待している効果はあくまでシステム運用が上手くいった場合に限られます。

システムを活用するには専門的な知識が必要不可欠であり、現場ユーザーの使い勝手などサポートを充実させることも重要になります。システム選定にあたって、機能やスペックだけを重視するのではなく、どんなサポートがあるのかを詳細に知る必要があります。

クラウドコントラクトでは、取引先など契約相手方に対してのサポートも実施しています。「■契約相手のサポート作業で業務負担」の項目でご紹介した作業をクラウドコントラクトに丸投げすることも可能です。導入にあたり、契約先に説明しなければならないデメリットも解消できるのです!

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