ペーパーレス化が推進される中、紙の書面で作成していた書類の電子化の導入を進める企業が増えています。業務効率化やコスト削減など多くのメリットをもたらす電子取引ですが、日常業務で使用頻度の高い領収書やレシートについても電子化できることをご存じでしょうか。
ただしビジネスで交わされる契約書などの税務関係帳簿書類は、電子帳簿保存法のルールに則って電子化しなければなりません。そこで今回は、領収書を電子化するメリットと注意点について詳しく解説します。
領収書は電子取引にするのがおすすめ
一般的に電子取引と言えば、「電子契約」を思い浮かべる方が多いかもしれません。実は私たちに身近な領収書やレシートでも電子取引は可能です。電子取引とは、電子決済や、PDFで送付された領収書や請求書など、紙を介在しない取引のことをいいます。
領収書の電子化においても、電子契約と同様に多くのメリットが得られます。電子上で取引が完結するため業務効率化が図れる上、印紙税や人件費など締結コストの削減などの利点があるのです。
領収書を電子データ化することによるメリット
領収書を電子化することにより、どんなメリットが得られるのでしょうか。代表的な3つのメリットをご紹介します。
印紙税や切手代などのコストを削減できる
領収書を電子化する大きなメリットの1つは、印紙税がかからない点です。紙の文書では、領収書の記載金額によって印紙税の金額が増えていきます。
例えば不動産に関する契約書は、10万円以下では200円が課税されます。その後10万円超50万円以下では400円、50万円超100万円以下1,000円……と印紙税が増えていきます。
一方で、印紙税は紙の文書に課税されるため、電子領収書では不要です。メールで送付できるため、作成や封入、郵送などの運用コストも削減できます。電子領収書にすることで印紙税が不要となる法的根拠については、後の項目で詳しくお伝えします。
領収書作成作業を効率化できる
領収書に関わる事務作業を簡略化できるのも電子化のメリットです。
紙での作成では、印字や記入、印紙の貼付に加え、郵送する場合は宛名の記入や切手の貼付などの作業も発生します。
電子領収書では、これらの事務作業をオンライン上ですべて行えるため、業務の効率化を図れます。作業の簡略化により、ミスを減らすことにもつながります。
領収書の管理・保管がラクになる
電子領収書では、物理的な保管スペースが必要ありません。
紙の領収書はファイリングなどを行った後に保存するため、枚数が増えれば増えるほどスペースを確保しなければならなくなります。
さらに、電子領収書は削除さえしなければ半永久的な保管が可能です。バックアップを取っておけば、紛失などのトラブル防止にも役立てられます。
また、領収書を電子データにすることで、検索も簡単になります。紙の領収書の場合、1枚ずつ手作業で探す必要がありましたが、電子データであれば一定のルールでファイル名を設定して保管をすれば、検索機能ですぐに必要書類を抽出できます。過去の領収書であっても迅速に検索可能です。
クラウドを利用することで、保管コストを抑えることができ、検索作業の大幅な効率化につながることも電子化のメリットです。
印紙税はなぜかからないのか?法的根拠を解説
ビジネスでの取引で交わされる一定の文書には印紙税がかかります。そのルールを定めた印紙税法の第44条には、「課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載」と定められています。
つまり、文書への課税は「紙」への記載にされるものと定義されているのです。電子契約書はデータでの取り交わしとなり、「文書を作成したこと」とは見なされません。
これが、電子取引で印紙税が非課税となる法的根拠となっています。電子領収書も文書ではありませんから、印紙税は不要となります。
電子化した領収書は「電子帳簿保存法」に則った保管が必須
領収書を電子データとして保存することは「電子取引」であり、電子帳簿保存法の要件を満たしたデータ保存が求められます。原則として、電子データで取引した領収書は、電子データのまま保存する必要があります。
さらに、電子帳簿保存法では、改ざんや不正を防止するため、「真実性の確保」と「可視性の確保」のもと、適正に保存することが義務づけられています。
要件の1つ「真実性の確保」とは、保存したデータが削除・改ざんされていないことを確認するためのもので、訂正・削除履歴が残る形にしなければなりません。
「可視性の確保」では、保存したデータを速やかに検索・表示できるようにする必要があります。
要件を満たすための具体的な方法については次のとおりです。
タイムスタンプ付与(真実性の確保)
タイムスタンプとは、電子データが作成された日付と時刻を記録し、存在を証明するシステムです。真実性の確保には次のいずれかを満たさなければなりません。
- タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う
- 取引情報の授受後、速やかにタイムスタンプを付すとともに、保存を行う者又は監督者に関する情報を確認できるようにしておく
- 記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実および内容を確認できるシステム又は記録事項の訂正・削除を行うことができないシステムで取引情報の授受および保存を行う
- 正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規定を定め、その規定に沿った運用を行う
出典:国税庁資料「電子帳簿保存法が改正されました」より
www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf
検索機能がある(可視性の確保)
可視性の確保として、取引年月日・取引先・取引金額などを入力すれば、誰もが簡単に検索できるようにしておくことも求められます。日付または金額の範囲指定など2つ以上の任意の記録項目によって検索できる機能を確保する必要があります。
見読性の確保(可視性の確保)
パソコン(電子計算機)、プログラムやディスプレイおよびプリンタを用意し、そのマニュアルについても準備してお、くことで可視性を確保したと見なされます。また電子データとしての記録をディスプレイの画面、書面に整然とわかりやすくした上で、迅速に出力できる環境整備することがも必要です。
関連書類の概要書を備える(可視性の確保)
電子取引導入で用いるシステムの概要を記載した関連書類を備え付けておく必要があります。システム概要書やシステム基本設計書などが関連書類にあたります。
電子領収書の発行方法
電子領収書の発行は、スキャナ保存やPDF化することで簡単にできます。ただし、作成した電子領収書を「電子帳簿保存法」のルールに則った方法で保管する必要があります。
「電子帳簿保存法」に対応するには、電子契約サービスなどのシステムを導入するのがおすすめです。自社に必要な機能があり、使いやすいサービスを選ぶといいでしょう。
万が一保存した記録に不正があった際は
電子データとして保存した領収書が要件などのルールに則っていなかったり、明らかな不正があると判断されたりした場合には、罰則が課せられる可能性があります。電子データの不正により、次の3つのペナルティがあることを心しておかなくてはなりません。
1.青色申告の承認取り消し
最大65万円の控除がある青色申告の承認が取り消される可能性があります。控除の適用がなくなるだけでなく、赤字の繰越も認められません。社会的な信用も損なう可能性もあります。
2.推計課税や追徴課税
青色申告で受けられる特例もなくなり、税務署の判断のもと税額が決められる推計課税が行われ、税金が加算される可能性が出てきます。また悪質だと見なされると、届け出た税額との差額としての追徴課税の上、さらに加算税が課される場合も考えられます。
3.会社法による過料
書類の記録・保存に関しては、会社法にもルールが定められています。電子データの不正は会社法にも抵触するおそれがあり、100万円以下の罰金となるケースもあります。
操作がわかりやすく無料お試しができる電子契約がおすすめ
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またコスト面を考えると、長期的な視点でのチョイスが重要になります。小さな金額であっても、自社に不要な機能にかかるコストが積み重なれば大きな痛手となるからです。
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